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日本在住の外国人材、退職理由で多いものは? グローバルパワー調査

2024.06.05

外国人のための就職・転職情報サイトNINJAを運営する株式会社グローバルパワー(本社:東京都台東区、代表取締役社長:竹内幸一)は、日本在住の外国人材1300名の退職理由についての調査を実施した。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

調査概要

調査概要

調査対象:期間内に株式会社グローバルパワーにて転職相談を行った日本在住の外国人材
調査期間:2021年1月1日~2023年5月31日(2年5カ月間)
実施方法:調査対象者が同社の転職アドバイザーと面談を行った際の聞き取り調査
調査主体:株式会社グローバルパワー
対象者属性:全 1344 件( 男性598名:女性691名:非公開55名)
出典元:【調査結果公開】外国人材1,300人の退職理由は?日本人材との比較と要因(株式会社グローバルパワー)

本調査で使用される言葉の定義等について

同社は本調査結果の公開にあたって、使用する言葉について下記のように定義付けたとしている。

退職理由:本調査では、転職相談により現在の勤務先を退職しようとする理由、もしくは直近の勤務先を退職した理由をヒヤリング。よって、転職理由では狭義となるため、全てを退職理由という言葉で表現に統一。

外国人材:本調査では、在留資格問わず、生まれ育った国が日本以外の方に調査を実施。そのため、外国籍から日本国籍を取得された方も含め、外国人材という言葉で表現を統一。

日本人材:本調査を一般的な日本の就労者と比較するために、厚生労働省が平成21年3月11日に発表した「第6回21世紀成年者縦断調査」の数値を集計して利用。その数値の中には国籍の区別がないため、調査対象者に外国人材が含まれる可能性もあるが、本調査では誤差の範囲とみて、総じて日本人材という言葉で表現を統一。

コロナ禍:日本国内においては2020年1月頃より、感染者が増加した新型コロナウィルスによる国民の健康被害、経済の低迷等の悪影響を総じて、コロナ禍という言葉で表現を統一。

仕事内容に起因する退職が多い外国人材「自分の希望する仕事ではなかった」が最多

仕事内容に起因する退職が多い外国人材「自分の希望する仕事ではなかった」が最多

本調査によると、日本人材が会社に起因する理由の退職に対して、外国人材は仕事内容に起因する退職が最も多いという。外国人材の退職理由は「自分の希望する仕事ではなかった」「給与・報酬が少ないから」「契約期間が満了したから」が上位に並んだ。

最も多い理由として挙げられた「自分の希望する仕事ではなかった」について、同社はその要因を追究。同社では特に日本語のレベルによって、希望する仕事の選択肢が大きく異なると予測していたというが、調査では日本語レベルは大きな要因ではなかったことが明らかになった。

また「自分の希望する仕事ではなかった」との回答は非正規雇用が正規雇用よりも低い数値となっているという。これについて同社は、派遣等の非正規雇用において、就業前に実際に行う仕事の範囲や時間、条件などが予め提示されるためで、就業前と終業後のギャップが少ないことが要因と予測した。

一方、正規雇用は、職種は設定されていても明確な業務内容は変化することが多く、人事異動や就業場所の変更もあり得ることから「自分の希望する仕事ではなかったから」と感じる可能性が高いと同社はみている。

また同社は、在留資格の影響もあると考察。就業制限のない在留資格は、なんら制限を気にせずに雇用することができるが、技術・人文知識・国際業務等の在留資格は、業務範囲や就業期限など、採用企業側が在留資格の知識を有する必要がある。こうした理由から「外国人採用」に踏み切れない企業がまだまだ多いことが、外国人材の希望の仕事の選択肢が少ない要因では無いかとの予測を示した。

「契約期間満了」「勉強のため」の要因は?

「契約期間満了」「勉強のため」の要因は?

本調査によると、退職理由が「契約満了」と回答した日本人材の割合と外国人材の差は、全体では4.3ポイントであったが、非正規のみで比較すると45.7ポイントと大きな差が確認されている。外国人材の非正規雇用で性別関係なく、契約期間が満了する時点で約6割が退職することが明らかになった。

非正規雇用において外国人材が契約満了時に退職する割合は、日本人材と比較して約4倍に達している。その傾向は年々増加していることから、コロナ禍などの一過性の要因ではないと推察されるも、企業側の意向なのか、外国人材側の意向なのかは、現時点では不明だという。

また外国人材は性別問わず「勉強のため」に転職する割合が多いこともわかっているが、同社によれば、そもそも出身国で就業していた外国人材が日本で暮らしたいために、現地で日本語を学んだり、日本に留学したりしていることが要因であることを確認したという。そのため性別、雇用タイプ関係なく、退職理由に「勉強のため」という外国人材が一定割合存在しているようだ。

まとめ

本調査では外国人材の多くが仕事内容を理由に退職していることが明らかになった。特に希望する仕事ではなかったとして退職する人が多いようだ。

厚生労働省は6月1日からの1カ月間を「外国人雇用啓発月間」としており、今年は「ともに創ろう、みんなが働きやすい職場 ~外国人雇用はルールを守って適正に~」というスローガンを掲げている。

日本で当たり前とされる文化や制度は外国人材にとって馴染みのないものである場合も多く、トラブルにつながる可能性もある。厚生労働省はそうしたトラブルを防ぐため、多言語による説明・文化ギャップの理解ができるよう「外国人労働者の人事・労務支援ツール」を作成。日本人材、外国人材ともに働きやすい職場づくりに役立てて欲しいとしている。

また、外国人材の職場定着に活用できる助成金もあり、通訳費や翻訳機器の導入費などに対して支給を受けられる場合がある。今後外国人材の雇用を検討している企業はぜひ参考にしていただきたい。

参考:6月は「外国人雇用啓発月間」です(厚生労働省)