新型コロナ関連の経営破たんが再び増加へ 累計9236件に
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年5月の「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が274件(前年同月比6.6%増)となったことを報告した。
負債1000万未満も含めると累計9774件に
2024年5月の「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)は前年同月比6.6%増の274件判明し、これまでの累計は9326件(倒産9101件、弁護士一任・準備中225件)となった。3月には月間件数が2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準となっていたが、4月は一転して減少。5月となって再び増加へ転じたことになる。
TSRによれば、倒産集計の対象外となる負債1000万円未満の小規模倒産が累計448件判明しており、負債1000万円未満を含めると、新型コロナウイルス関連破たんは累計で9774件に達している。
TSRは国内の企業数(358万9333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率を公開。コロナ破たん率は0.272%で500社に1社が破たんした計算となっている。なお都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.477%、次いで福岡県の0.408%、宮城県の0.407%、群馬県の0.339%、大阪府と栃木県の各0.335%と続いた。一方、最低は高知県の0.115%で、地域によってばらつきがあるようだ。
業種別では、コロナ禍での来店客の減少に加え、食材や光熱費高騰の負担も重い飲食業が最多で1520件に及んだ。次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が1133件に達している。
形態別にみると、破産が8232件(構成比90.4%)で最多となった。TSRによると、業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半だという。
出典元:新型コロナ破たん 5月は274件が判明(5月31日現在)(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
TSRはこうした状況について「脱コロナが進む一方で、コロナ禍の後遺症に苦しむ企業は多い。コロナ関連融資の返済や公租公課の支払いを前に資金繰りを維持できないケースが頻発している。コロナ関連破たんは一進一退を続けながらも、引き続き月間200件超えの水準で断続的に発生する可能性が高い」との見解を示した。
コロナの影響を受けて長期の業績不振、過剰債務に陥った企業は少なくない。帝国データバンクの調査(※)では、2024年度の業績見通しは「増益」の企業割合が「減益」の割合を3年ぶりに上回ったというが、業績見通しの上向き傾向となる勢いは前年よりもやや鈍化していることも報告されている。
こうした調査結果からも、コロナ関連破たんは今後も断続的に発生していく可能性は高いというTSRの見解はもっともな考えと言えるだろう。関連企業や取引先の動向にも引き続き注視が必要ではないだろうか。
※出典元:2024年度、「増収増益」を見込む企業は26.3% 上向き傾向が続くも、勢いはやや鈍化~利益面で二極化が進むなか、「人手不足」が最大の下振れ材料~














