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人的資本情報開示に関する課題「どの情報を管理すべきか決められない」 オデッセイ調査

2024.07.01

人事領域に特化したITコンサルティング事業を手掛ける株式会社オデッセイ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:秋葉尊)は、全国の従業員1000名以上もしくは年商500億円以上の企業の人事関係者、経営企画関係者500名に対し「人的資本情報の可視化・開示の取り組み状況に関する調査」を実施。ステークホルダーからの注目度が高まっている人的資本情報の管理や開示に関する日本企業の苦労や、今後の課題を明らかにした。

調査概要

調査方法:WEBアンケート形式
調査地域:全国
調査期間:2024年4月24日~2024年4月25日
調査対象:全国の従業員数1000名以上もしくは、年商500億円以上の企業で働く人事関係者・経営企画関係者500人
調査主体:株式会社オデッセイ調べ
出典元:人的資本開示義務化1年後の調査結果発表(株式会社オデッセイ)

人的資本情報を開示している企業は約6割も約2割は義務化された項目のみ

人的資本情報を開示している企業は約6割も約2割は義務化された項目のみ

本調査結果を見ると、人的資本情報を開示している企業は58%と過半数を超えている。一方で、21%は義務化された項目の開示に留まっているとの報告も。また、有価証券報告書には記載はしているものの「手間がかかっている」と感じている上場企業が56%に及ぶことが判明した。

同調査によれば、非上場企業でも60%が人的資本情報を管理し、30%が開示もしているという。非上場企業においても人的資本に関する意識の高さがうかがえる。逆に、人的資本情報を社外に開示していない企業は全体で42%、上場企業でも22%と決して少なくない。企業によって取り組みに差がある実態が明らかになった。

また、有価証券報告書には、上場企業の79%が人的資本情報を記載しているが、56%の企業は「手間がかかる」と感じていることがわかった。同社は有価証券報告書への記載を効率化することが次の課題になると推察している。

管理に独自の指標を設定する企業が3割

管理に独自の指標を設定する企業が3割

本調査では、独自に重要指標を設定し指標化/管理している企業は30%に留まることが明らかになった。ISO等のガイドラインを参考に指標化/管理している企業は21%で、国際規格をベースに人的資本に関する自社の状態を把握しようとしている企業が一定数あるようだ。

上場企業に限定すると独自の重要指標を設定して指標化/管理している企業が37%、ISO等を参考にしている企業も24%と、全体よりやや増えるが傾向として大差はないことがわかった。

一方で、国際規格であるISO30414を参考にしている、もしくは参考にしたいと思っている企業は60%以上に上るという。上場企業に限定すれば70%以上が参考にしようとしていることもわかっており、大きな信頼が寄せられている様子がうかがえた。

可視化に手間 課題は基本的な部分に集中

可視化に手間 課題は基本的な部分に集中

本調査結果からは、人的資本情報を可視化できている企業は58%であることがわかる。また、そのうちの半数以上は可視化に手間がかかっていると回答した。

上場企業では可視化している割合が約70%に上るが、やはりその約半分はデータ連携や集計に手間がかかっているという。

さらに本調査では、人的資本情報の開示や活用を進めていくうえで解決すべき課題を調査。「どの人的資本情報を管理して開示すべきか決められないこと」について、上場企業の30%が課題視しており最多となった。続いて「情報システム等情報を収集・加工する仕組みがない、不十分なこと」と25%が回答していることから、基本的な部分を課題視している上場企業が多い状況が読み取れる。

今後必要な仕組みとしてはは「タレントマネジメントシステムの改善/新規導入」が30%以上となった。上場企業に限定しても40%以上が選択しているという。

なお、人的資本情報を開示・活用したことによる経営上の効果については、開示企業の80%以上が財務情報を使って確認している、もしくは確認したいと思っていることがわかった。開示している上場企業に絞れば、既に40%以上の企業が財務情報を使って経営効果を確認しており、確認したいがまだ出来ていない企業も40%あることから、同社は「人的資本情報の開示・活用による経営上の効果を財務情報で検証する企業のニーズが今後高まっていくことが予想される」との見解を示した。

まとめ

人的資本情報の開示義務化から1年が経過したが、依然として基本的なことが課題となっている企業が多いことが明らかになった。非上場企業であっても人的資本経営への注目は高く、取り組みは今後ますます重要視されていくだろう。

取り組みを推進していく上では、情報の管理・開示・活用においてどのように効率化を図るかがポイントとなりそうだ。本調査を実施した同社をはじめ、各社が提供する人事ソリューションの活用も検討してみてはいかがだろうか。