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合同会社の新設法人が2023年に初めて4万社超え 優位性とインボイス制度が影響か TSR調査

2024.07.01

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約400万社)から、2023年(1-12月)に全国で新しく設立された全法人15万3405社のうち、合同会社を抽出し、分析。2023年に新たに設立された法人のうち「合同会社」が4万655社(前年比9.6%増)と初めて4万社を上回ったことを報告した。

2023年新設法人の26.5%を占めた合同会社

2023年新設法人の26.5%を占めた合同会社

TSRによると、2023年の新設法人15万3405社のうち、合同会社は4万655社で構成比26.5%と大幅に増加したという。年間1000社以上設立された法人格の増加率では、株式会社(8.6%増)を抜いて合同会社が最大となっている。

合同会社は、2006年5月の会社法改正でスタートした比較的新しい法人格で、設立手続きの容易さと手続きコストの安さが特徴に挙げられる。株式会社の半分の費用で設立できるケースもあり、設立までの期間も短期間で済む。株式会社と違い株主総会の開催や決算公告も必要がないため、出資者が会社の業務を行うことで意思決定が早いというメリットも。

2018年は2万8662社で構成比は22.2%、2019年には3万社を超え、構成比も23.0%と上昇。その後も構成比は緩やかに上昇を続けている。

TSRは、2023年10月に始まったインボイス制度で、個人事業主が合同会社で法人化した可能性もあると見ている。

出典元:2023年の「合同会社」の新設法人、初の4万社超 他の法人格にはないメリットとインボイス制度が寄与か(株式会社東京商工リサーチ)

産業別 7産業で増加 業種別トップは「学術研究、専門・技術サービス業」

産業別 7産業で増加 業種別トップは「学術研究、専門・技術サービス業」

産業別に見ると、合同会社は10産業のうち7産業で前年を上回っている。減少は「金融・保険業1511社(前年比5.4%減)」「農・林・漁・鉱業592社(同3.8%減)」「不動産業4425社(同0.02%減)」の3業種。

一方、増加率が高かった業種は「建設業2482件(同31.6%増)」「サービス業他の1万8016社(同13.9%増)」「運輸業732社(同10.0%増)」「情報通信業4941社(同9.9%増)」が並んだ。

TSRは産業別をさらに細分化した業種別の分析結果も報告。最多は経営コンサルタントなど「学術研究、専門・技術サービス業6502社(構成比15.9%、前年比17.7%増)」であった。次いで、ソフトウェアの開発など「情報サービス・制作業4850社(同11.9%、同9.6%増)」「不動産業4425社(同10.8%、同0.02%減)」「飲食業2828社(同6.9%、同17.1%増)」が続いている。

出典元:2023年の「合同会社」の新設法人、初の4万社超 他の法人格にはないメリットとインボイス制度が寄与か(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

2023年、合同会社の新設法人が初めて4万社を超えたことが明らかになった。構成比で見ても26.5%と、約4社に1社の割合だ。TSRは、他の法人格と比較して合同会社だけが持つ優位性や、インボイス制度により小・零細規模の個人事業主が法人化したことなどが背景にあると推察している。

アマゾンジャパンやグーグルといった有力な外資企業の日本法人も合同会社を選択しており、今後も合同会社が増加する可能性は十分にあると考えられる。一方で合同会社は認知度や信頼性の低さがデメリットとして挙げられることも。採用活動などで不利になるとの見方もあり、今後新設する場合はメリットデメリットの両面から検討することをおすすめしたい。