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3カ月連続悪化の国内景気、今後は定額減税による消費増加に期待? TDB調査

2024.07.04

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年6月17日から6月30日まで景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは規模別の景気動向に絞って紹介する。

3カ月連続の悪化は2020年5月以来4年1カ月ぶり

3カ月連続の悪化は2020年5月以来4年1カ月ぶり

TDBによれば景気DIは3カ月連続での悪化となり、2024年6月は前月比0.2ポイント減の43.3となっている。国内景気は円安によるコスト負担の増加や個人消費の落ち込みを受け、改善が進まなかった。

特に6月は宿泊業や娯楽サービス業など、個人向けのサービスを中心に個人消費DIの落ち込みが目立つ。原材料価格の高止まりなど、コスト負担の増加が景況感を下押しした。さらに人件費の増加、2024年問題への対応、不十分な価格転嫁など、悪材料も多く、近隣地域からの旅行客獲得が各地域の観光産業の明暗を分けたとTDBは解説する。

インバウンド消費は好調で、そのほかDX関連投資や民間工事の発注増加、エアコンなど季節商材の販売、活発に開催されたイベントなどは好材料として挙げられた。

今後の見通しについてTDBは、賃上げやボーナスの増加にともなう実質賃金の動向がポイントだとみている。プラス材料としてはインバウンド消費の拡大や自動車の挽回生産、半導体需要の回復などが挙げられる一方、人件費や物流コストの増加、不十分な価格転嫁などのほか、家計の節約志向の高まりなどは下振れ要因に挙げられた。TDBは日本銀行の追加利上げや人手不足の継続といったマイナス要因も多くあることから、今後の国内景気について横ばいで推移すると予測している。

規模別 3カ月ぶりの回復と3カ月連続での悪化

規模別 3カ月ぶりの回復と3カ月連続での悪化

TDBは規模別の景気動向について「大企業」「小規模企業」では3カ月ぶりの改善がみられた一方で「中小企業」は3カ月連続の悪化となったことを発表した。旅行控えが宿泊業や飲食店の下押し要因になったようだ。

「大企業」(48.0):前月比0.1ポイント増
TDBによると、気温の上昇や節電意識の高まりで飲料や家電製品の販売が好調な『小売』が2カ月ぶりに改善した一方で『不動産』はマンション販売の展示会への来場者数の減少など2カ月連続で悪化したことがわかった。

「中小企業」(42.5):前月比0.1ポイント減
中小企業は3カ月連続の悪化となり、特に『サービス』では「旅館・ホテル」が3カ月連続「飲食店」が2カ月連続で大きな落ち込みとなっている。食品価格の値上げによって需要が低迷した包装資材の影響を受けた「出版・印刷」にも悪化がみられている。

「小規模企業」(41.6):前月比0.4ポイント増
3カ月ぶりの改善がみられた小規模企業では、10業界のうち改善が5業界、悪化が4業界となり、景況感は業界間で二分しているという。貸切バスの利用や告示運賃が上昇した『運輸・倉庫』が改善した一方で『小売』は2カ月連続での悪化となった。

調査概要

調査期間:2024年6月17日~6月30日(インターネット調査)
調査対象:2万7159社、有効回答1万1068社、回答率40.8%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2024年6月の景気動向調査 国内景気は4年1カ月ぶりに3カ月連続で悪化(株式会社帝国データバンク)

まとめ

3カ月連続での悪化となった国内景気だが、今後も横ばいでの推移が予測されている。規模別で見ると同じ業界でも悪化と改善の差が出ており、人件費の増加や不十分な価格転嫁による影響も大きいと考えられる。

TDBは実質賃金のプラス転換がひとつのポイントとみているものの、消費者の節約志向をどこまで抑えられるか、引き続き注視したい。