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20代会社員「会社でのキャリアビジョン見えない」が約6割、ロールモデル不在が影響か あしたのチーム調査

2024.07.08

株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:赤羽博行)は「中小企業で働く20代のキャリア形成に関する意識調査」を実施。本調査は国内中小企業の組織課題や実態の把握を目的としたものである。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の中小企業(社員数300名未満)に1年以上勤続する20歳~29歳の正社員 男女300人(男性:138人、女性:162人)
調査実施日:2024年5月23日~24日
出典元:【中小企業で働く20代のキャリア形成に関する意識調査】参考や目標になる先輩・上司は「1人もいない」が最多!正社員で働く20代の半数以上が「いまの会社でキャリアビジョンが見えない…」(株式会社あしたのチーム)
※本資料におけるグラフは小数点第2位以下を四捨五入しているため、グラフの数字の合計が100%とならない場合がある

キャリアビジョン「見えていない」が6割超 その理由は?

キャリアビジョン「見えていない」が6割超 その理由は?

同社の報告によれば、現在勤める会社で自身のキャリアビジョン(数年先までの職務経験や役職の希望、ありたい姿など)が見えているかとの質問に「ほとんど見えていない(32.0%)」「まったく見えていない(28.3%)」と、6割超が「見えない」と回答したという。「見えている」と回答したのは「はっきり見えている(6.3%)」「ぼんやりと見えている(33.3%)」を合わせた39.6%であった。

また同社は、自身のキャリアビジョンが見えていない理由の1位に「自身のライフプラン(移住・留学・結婚・出産・子育て・介護等の予定・計画)が見えないから(28.7%)」がランクインしたことを報告。次いで「先輩社員や上司を見て希望が持てないから(24.9%)」「キャリアについて相談相手がいないから(22.1%)」「自社のキャリアパス(昇給・昇進の道筋)が公開されていないから(20.4%)」が続いたという。

自身のキャリアビジョンが見えていると回答した人が「キャリアビジョンを描くのに役立ったもの・こと」としているのは「上司との面談(32.8%)」「同僚の話(26.9%)」「社内研修(26.1%)」などが上位であることもわかった。

ロールモデルの不在がキャリアビジョンの有無に影響か

ロールモデルの不在がキャリアビジョンの有無に影響か

同社によると、社内にキャリアの参考や目標にできる先輩社員や上司がどのくらいいるか尋ねる設問では「1人もいない(30.0%)」が最多となり、約3人に1人は社内に参考や目標になる先輩社員や上司がいないと感じていることが明らかになった。

続いて同社は、自身のキャリアビジョンが見えているかの回答別に分析。その結果「キャリアビジョンが見えていない」と回答した人では「1人もいない」の割合が44.2%に大きく上昇したという。参考や目標にできる先輩社員や上司がいる場合についても、キャリアビジョンが見えている人に比べてその人数は少ない状況が明らかに。

同社はこうした状況について「これまでの設問で20代のキャリアビジョンの前提として「自身のライフプラン」があること、生き方・働き方のダイバーシティが世間に広まって以降の社会人世代であることなどから考えると、社内の“ロールモデル”はもはや機能しないのかもしれません」との見解を示し、20代が憧れたり共感したりする存在は、SNSなどの社外にいる可能性が高いと推察した。

若手社員がキャリア形成に求めることとは?

若手社員がキャリア形成に求めることとは?

続いて同社は、勤務先はキャリア形成に役立つ制度や体制が整備されていると思うかを、自身のキャリアビジョンが見えているかの回答別に分析。その結果「自身のキャリアビジョンが見えている」とした人では「整備されている(21.8%)」「多少整備されている(46.2%)」と、7割近くが整備されていると回答。一方で「自身のキャリアビジョンが見えていない」とした人は「あまり整備されていない(44.2%)」「整備されていない(38.1%)」と、8割超が制度や体制整備が不十分と感じていることがわかった。

同社は、勤務先のキャリア形成について満足していることについて「上司との面談」に関する回答から、会社風土や普段のコミュニケーションによる上司との心理的距離の近さのほか、人事考課のタイミングなど定期的な面談機会があることで、キャリアについても上司に相談しやすい環境がつくられていると分析。さらに、研修や資格取得について費用や時間の面で支援があるなど、社員のリスキリングに関して具体的な取り組みがある点に満足している人が多いことも報告した。

逆に不満に思うことでは、経験できる業務内容が限定されていたり、研修など勉強の場がなかったりすることで、スキルアップできる機会がないという回答が多く挙げられたという。また、人事に関する制度や仕組みが「ない」という以外に、そのルールや基準が不明確であることに対する不満が多かったことも報告した。

まとめ

同社代表取締役社長CEOの赤羽博行氏は、昨今のキャリア形成には「個」に焦点を当てることが求められていると指摘。一方で、キャリアはひとりで作れるものではないとして 「これから企業側に求められることは、社員一人ひとりのキャリアに対する考え方や希望に向き合えるキャリア支援ができる管理職を育成すること、面談の頻度を高めていくことを通じて、管理職が部下の成長を支援し、市場価値を上げていくこと」と提言した。

人手不足が深刻化し、人材の獲得や離職防止がより重要となる中で、若手のキャリア支援は企業成長のためにも欠かせない取り組みのひとつである。今の時代に合わせたキャリア支援を考える機会としてみてはいかがだろうか。