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新定義「中堅企業」は7749社で国内全売上高の16%に、億単位の設備投資進める企業が約6割 TDB調査

2024.07.08

帝国データバンク(以下:TDB)は、企業概要ファイルCOSMOS2(147万社収録)から、改正産業競争力強化法の定義に基づく「中堅企業」を抽出し、実態を分析した。分析結果の概要についてお伝えする。

※中堅企業の定義:本調査では「産業競争力強化法」に基づく「中小企業」に該当しない、従業員数(正社員数)が2000人以下の企業を「中堅企業」と定義。該当する「会社(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社)」を抽出した(データは2024年5月時点)

中堅企業元年 地域経済の牽引役としての貢献に期待

中堅企業元年 地域経済の牽引役としての貢献に期待

新たな事業の創出及び産業への投資促進を目的とした「改正産業競争力強化法」が、2024年5月31日、参議院本会議で可決・成立。アフターコロナで日本経済が回復局面を向かえている中、課題として浮かび上がってきた労働生産性の問題や賃金格差を解決するため、産業構造の変革と新陳代謝を促す目的で、中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じることが決定した。

そうした中で新たに定義されたのが「中堅企業」である。従業員2000人以下で同法上の中小企業に該当しない企業を指す。経済産業省は2024年を「中堅企業元年」と位置付けた。成長意欲を持ち、ポテンシャルを秘めている中堅企業に対して、大型設備投資やM&Aによる事業拡大を税制面でサポート。地域経済の牽引役としての貢献に期待を寄せている。

参考:「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
参考:中堅企業成長促進パッケージ(中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループ)

中堅企業の総売上高は国内総売上高の約16%

中堅企業の総売上高は国内総売上高の約16%

TDBによると、2024年5月時点で「中堅企業」に該当する企業は7749社で、国内企業全体の0.53%にあたるという。なお「大企業」の該当率は0.06%で「中小・その他法人」は99.41%だ。 また「中堅企業」7749社の総売上高(2023年以降の最新期売上高)は324兆6809億円で、これは国内全企業の総売上高の15.68%を占める。大企業の21.60%に迫る規模で、国内経済に中堅企業がもたらす影響が大きいことがうかがえる。

コロナ禍の減資が影響し、2019年からの5年間で中堅企業は820社の大幅減少となっているものの、中堅企業から大企業に成長した企業も127社存在。コロナ禍においても中堅企業の成長ポテンシャルは発揮されたと言える。

出典元:「中堅企業」の実態分析 中堅企業は7,749社、国内全売上高の16%~ 約6割が億単位の設備投資進める ~(帝国データバンク)

設備投資や人材への投資も活発

設備投資や人材への投資も活発

また、TDBは2024年5月に発表した「2024年度の設備投資に関する企業の意識調査」をもとに、中堅企業の設備投資動向を分析。中堅企業のうち、2024年に設備投資を「実施・予定・検討」している企業が79.3%にのぼることを明らかにした。全企業の58.8%と比較しても高い割合を示しており、活発な動向がうかがえる。投資額は「1億円以上10億円未満(36.7%)」が最多で「10億円以上(19.3%)」と合わせると、約6割が億単位の投資を進めている実態が判明した。資金調達方法として「親会社やグループ会社からの借入」が多く、中堅企業には安定した資金供給が得られる体制があるようだ。

また、TDBは2024年2月に発表した「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」をもとに、中堅企業の賃上げ動向についても分析。中堅企業では「同業他社の賃金動向(44.0%)」を賃上げの理由に挙げる企業が多く、2024年の賃上げは様子見傾向にあるという。また、賃上げの理由として「採用力の強化(35.8%)」も多く挙げられており、人材面への成長投資意向の強さが示唆された。

出典元:「中堅企業」の実態分析 中堅企業は7,749社、国内全売上高の16%~ 約6割が億単位の設備投資進める ~(帝国データバンク)
参考:2024年度の設備投資に関する企業の意識調査(帝国データバンク)
参考:2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査(帝国データバンク)

まとめ

中堅企業成長促進パッケージでは、中堅企業が国内外の大企業と競争していく上で、十分な成長投資等が行えていない課題があると指摘されている。そこで、賃上げや設備投資に対して重点的な支援が行われることが決定。今後の成長が経済の活性化にどこまで好影響をもたらすのか、国が提供する数々の支援策は中堅企業の成長を後押しできるのか、引き続き注視したい。

参考:中堅企業成長促進パッケージ(中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループ)