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卸・小売業の新入社員、他業種に比べてマネジメント志向が高い傾向に ALL DIFFERENT調査

2024.07.09

組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー、所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:眞﨑大輔)および、人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は2024年3月28日~4月30日、2024年入社の新入社員4761人を対象に「新入社員意識調査」を実施。業種ごとの新入社員の傾向や特徴を分析している。今回発表されたのは、卸売業・小売業に関するレポート。コロナ禍を経て、抜本的な変化や新たな価値創造が求められている業種であり、人材獲得・人的資本価値の向上が喫緊の課題とされている。そんな卸売業・小売業の新入社員が持つ価値観やキャリア志向について、レポートの概要をお伝えする。

調査概要

調査対象者:同社が提供する新入社員研修に参加した2024年入社の新入社員
調査時期:2024年3月28日~2024年4月30日
調査方法:Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査
サンプル数:4761人
出典元:【新入社員意識調査(業界別編・卸売業・小売業)】マネジメント志向、他業種より高く3割/「やりがい・成長実感」のほか「人脈の広がり」を求める(ALL DIFFERENT株式会社)

【2024年度 新入社員意識調査一覧】
【アフターコロナ第1世代・新入社員4,227人意識調査(速報値版)】 2024年入社の8割超がやる気度が“高い”/ 理想の上司は「間違いを指摘してくれる」
【新入社員意識調査(業界別編・製造業)】製造業の新入社員、6年連続”安定志向” 7割以上が「今の会社で働き続けたい」と回答
【新入社員意識調査(業界別編・情報通信業)】成長意欲高い傾向 「専門職志向」が3割超、「管理職志向」を上回る

入社時の気持ち「不安」がトップで4割超

入社時の気持ち「不安」がトップで4割超

まずはじめに、入社式を迎えた気持ちに関する回答をみると「不安」が40.7%で、卸売業・小売業を除く全業種(以下、『他業種』と記載)と比較して6.9ポイント高いことがわかる。

具体的な不安としては「仕事についていけるか(仕事の難易度)」が63.8%で最多に。次いで「生活リズムや社会人としての考え方の習得(50.0%)」「社会人の基礎的なマナーの習得(47.4%)」「職場の環境になじめるか(職場の文化)(27.0%)」「上司との関係性(22.4%)」が続いている。

同社によると、全体的に他業種より割合の高い項目が多く、特に差が大きい項目は「社会人の基礎的なマナーの習得」と「職場の環境になじめるか(職場の文化)」で、他業種よりそれぞれ7.0ポイント、6.0ポイント高いという。

「組織を率いるリーダーになりたい」最大の理由は「人を束ねて大きな仕事をしてみたい」

「組織を率いるリーダーになりたい」最大の理由は「人を束ねて大きな仕事をしてみたい」

続いて同社は、卸売業・小売業の新入社員が将来どのようなキャリアを描いているのか、展望を尋ねている。その結果「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい<管理職>」と回答した新入社員が30.2%で最多となり、他業種より6.5ポイント高いことがわかった。

その理由としては「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」が37.4%で最も多いという。また「将来経営層として会社を引っ張っていきたいから」は25.3%で、他業種との差が開き、4.5ポイント高いことが明らかになっている。

また、具体的にどのような仕事をしてみたいと考えているか尋ねる設問では「楽しくてやりがいのある仕事(72.0%)」「自身の成長につながる仕事(50.0%)」「楽しく取り組める仕事(37.2%)」が上位に。他業種との比較で目立ったのは「人脈が広げられる仕事(+9.6ポイント)」「お客様の前に立つ仕事(+5.7ポイント)」「自身の成長につながる仕事(+3.7ポイント)」であった。

成長に必要なものは「成功体験」取り組みたいのは「スキルアップ」

成長に必要なものは「成功体験」取り組みたいのは「スキルアップ」

次に同社は、具体的に自身が成長するためには何が必要と考えているか質問。その結果「仕事を通じた成功体験(70.5%)」「仕事を通じた失敗体験(60.0%)」「上司や先輩からのフィードバック(55.7%)」が多くの票を集めている。同社によれば「仕事を通じた成功体験」は年々増加しており、5年間の調査の中で最高の割合となったという。一方で「失敗体験」は減少傾向にあることが報告された。

同社は最後に、スキルアップのために今後取り組みたいことを質問している。最も多かったのは「会社での仕事を通じてスキルアップを図っていきたい(62.7%)」で、次いで「自分の人脈を通じてその人から学びたい(36.0%)」「ビジネス本を読んでみたい(31.4%)」が続き、他業種よりそれぞれ4.9ポイント、6.2ポイント高いことがわかった。

まとめ

本調査では、2024年の卸売業・小売業の新入社員は、不安感を強く抱いている新入社員の割合が他業種より高いことがわかった。一方で、キャリア志向では管理職の役割を担いたいと回答する新入社員が3割超に。他業種よりも、人を束ねて大きな仕事をしたいという展望を持っている新入社員が多いようだ。

また、今後したい仕事の中で「人脈の広がり」「お客様の前に立つ仕事」が他業種よりも高い割合となっていることから、同社は
「人とのつながりを感じながら仕事をしたいという価値観を持っていること」
と推察する。

同社の組織開発コンサルティング本部で卸小売業チーム チームリーダー兼マネジャーを務める楢原光氏は「マネジメント志向を維持させるためには、他エリア・他店舗の店長・リーダーとの人脈を形成する支援が有効です。早い時期に様々な店長・リーダーの話を聴き、目指すべき姿の解像度を上げられるとよいでしょう」と提言。新入社員の成長を続けるために、全社での育成の仕組み構築を促した。

店長やリーダーといったポジションは新入社員でも想像しやすく、他業種よりもキャリアプランが描きやすいと考えられる。より具体的なキャリアプランが持てるようサポートすることが、企業の役割と言えるだろう。