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人的資本経営に取り組む企業の半数以上が効果を実感 実施における課題は?

2024.07.10

フォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者973人を対象に「中小企業の人的資本経営に関する実態調査」を実施。同社では「人的資本経営」の注目度が高まる中「中小企業の人的資本経営に関する実態調査 第1弾」として、中小企業経営者の人的資本経営への理解度や人材獲得についての実態を明らかにしていた。今回は調査第2弾として、働きやすい環境の構築状況や人的資本経営に取り組むメリット、今必要な内容について掘り下げて調査している。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

アンケート概要

調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
調査期間:2023年12月11日~2024年2月8日
調査対象者:全国の中小企業経営者
調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
有効回答数:973
出典元:フォーバル GDXリサーチ研究所
参考:〈中小企業の人的資本経営に関する実態調査 第1弾〉賃上げと共に注目される「人的資本経営」中小企業経営者で人的資本経営について詳細に理解できている経営者はわずか3.8%!人材確保への課題が多い状態に

働きやすい環境構築に未だ課題感

働きやすい環境構築に未だ課題感

本調査ではまずはじめに、育児休業・介護休業の取得事例について質問。その結果 「社内規定はあるが、取得事例がない(34.1%)」 「育児休業・介護休業の社内規程がない(27.3%)」と、育休・介休ともに取得事例がない・規定がない中小企業が61.4%となった。

また、時間や場所にとらわれない働き方について「時間と場所にとらわれない環境を提供している」とする人は29.4%にとどまり、47.1%が「提供していない」と回答。

さらに、スキルや能力、職務経歴に関係なく、多様な人材採用に努め、活躍できる環境の整備状況を問うと「多様な採用は行っておらず、活躍可能な環境も整えていない(36.6%)」「多様な採用は行っているが、活躍可能な環境は整えていない(14.3%)」と、50.9%が整備できていない実態が明らかになった。

同社は前回調査の際に、中小企業では人材獲得ができていない実態が確認されたとして、人員不足の背景から、育休・介休が取得しづらい環境にあるとの推察を示している。

コンプライアンスやハラスメントへの取り組み

コンプライアンスやハラスメントへの取り組み

本調査結果によると、コンプライアンス・倫理に関する研修機会について「提供していない」との回答が72.4%となっている。

そこで同社は「コンプライアンス・倫理に関する自社の方針を従業員が確認できる場所に開示していますか」と質問。その結果「作成していない(61.1%)」「作成しているが、従業員へ開示していない(12.1%)」と、73.2%の中小企業でコンプライアンスや倫理に関する自社の方針を従業員が確認できていない現状が判明した。

また「差別や、ハラスメント禁止の徹底と従業員への教育を実施していますか」との設問では「どちらもしていない(45.8%)」「やろうとはしているが、徹底はできていない(28.5%)」と、十分に取り組めていない企業が74.3%に及ぶことがわかっている。

中小企業における従業員の管理体制の実態

中小企業における従業員の管理体制の実態

続いて本調査では、従業員名簿の作成状況について質問。その結果「作成しており、9項目網羅している(30.5%)」「作成しているが、9項目網羅していない(42.3%)」と、72.8%の中小企業で従業員名簿が作成されているものの、義務付けられている項目の網羅がされていない場合もあることが明らかに。

さらに「労働者の男女の賃金の差異について、その雇用する全ての労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者(パート・有期社員)の3区分において把握できていますか」との質問に「把握している」と回答したのは48.5%となったことも報告されている。

従業員の勤怠管理については、71.6%が「勤怠管理を行っており、従業員個人の残業時間を確認している」と回答。労働時間や残業時間の管理は多くの企業で行われているようだ。

人的資本経営に取り組めている企業は半数以上が効果実感

人的資本経営に取り組めている企業は半数以上が効果実感

次に本調査では、人的資本経営の効果に関して質問し、人材強化について効果を感じている(「十分に効果を感じている」「やや効果を感じている」の合計)中小企業は75.7%、競合優位性の構築について効果を感じている中小企業は63.6%、売上の増加について効果を感じている中小企業は63%となったことを報告した。

一方で、人的資本経営に取り組むにあたって感じている課題としては「時間がかかる(35.8%)」「費用がかかる(27.5%)」が上位に。人的資本経営を進める上で求める支援としては「国や政府からの人的資本経営に向けた補助制度」が40.0%で最多となった。

同社は人材強化・競合優位性・売上増加などの重要な項目で効果を感じられている企業が多いことから、取り組みの推進を推奨。しかしながら構築への課題も多いことから、国や政府からの支援策が今以上に必要となってくるとの見解を示した。

まとめ

人的資本経営の重要性は理解しながらも、時間や費用の障壁から推進できていない企業も多いようだ。取り組んだ企業では多くが重要な項目での効果を実感しており、中小企業にとって欠かせない取り組みであることが示唆された。自社で取り組むにあたってどのような課題があるか、課題の解消に何が必要か、改めて検討する機会としていただきたい。