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2024年度の転職市場、越境採用が加速 リクルート調査

2024.08.01

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘)は、『リクルートエージェント』の転職データと各業界に精通したコンサルタントの知見を基に、主要業界でのキャリア採用の求人や求職者の動向をレポートしている。2024年度上半期のレポートでは、人手不足が深刻化し、多くの企業でビジネスモデルの変革が進む中、求職者にキャリアチェンジの可能性が広がっている現状を解説した。ここではレポートの概要についてお伝えする。

調査概要

調査方法:リクルートエージェントの求人データ、転職決定者
調査対象:リクルートエージェントの求人データ、リクルートエージェントを利用して転職した人
有効回答数:非公開
調査実施期間:2024年6月
調査機関:リクルート
出典元:2024年度 転職市場の動向(株式会社リクルート)

キャリア採用は活況が続く 変革に伴う採用が強化

キャリア採用は活況が続く 変革に伴う採用が強化

同社によれば、多くの業界で企業の採用意欲が高く、人材へのニーズは高水準を維持しているという。背景にあるのは、人口減少による構造的な人手不足。同社は今後もキャリア採用は活況となると見ているようだ。

また同社は、近年の求人の背景に「変革」=「トランスフォーメーション(以下:X)」があると解説。「DX(デジタルX)」をはじめ「GX(グリーンX)」「CX(コーポレートX)」を推進する人材のニーズは引き続き旺盛だという。同社は各業界で事業モデルやサービスの変革に伴う採用がより強化されているとして、自動車業界のソフトウエア開発の強化、金融業界のペイメント戦略の発展、生命保険業界のヘルスケアサービス強化などを例に挙げた。同社の報告によれば、変革を推進する人材として、異業界の経験者が迎えられる事例も続々と生まれているようだ。

採用ターゲット層に変化 企業の課題は?

さらに同社は、採用ターゲット層の変化にも注目しているという。従来20代~30代を中心に採用してきた業界や企業が、40代~50代以上の人を採用する事例も増えていると報告した。求職者側としては、定年や役職定年を機とした年収の低下や裁量権の縮小を見越した転職が進んでいるという。

同社はこうした状況について「組織の年齢構造が逆ピラミッド型へ変わる未来は避けられない」と指摘。いち早く対応する企業では、年齢に関わらずスキルや能力、成果を評価し、報酬で還元する人事制度「ペイ・フォー・パフォーマンス」の整備が進んでいるとして、企業の組織構造と評価・報酬制度の再定義が喫緊の課題だと解説した。

採用難度が上がる中で企業がやるべきこととは

同社の報告を見ると、業界や年齢以外でも「企業の成長フェーズ」「企業規模」「内資/外資」などの垣根を越える「越境転職」の事例が増えていることがわかる。同社は、大手企業での経験を生かしてスタートアップに移るケース、原材料・部品のサプライヤー側から完成品メーカー側、あるいはその逆に移るケースも多数あることを報告している。

同社は「越境採用」は事業変革に必要な取り組みであるとして、進める企業とそうでない企業の差を解説。職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル「ポータブルスキル」のレベルまで明確に求める人材像を定義し、求職者に明示できているかどうかがポイントだという。さらにはターゲットとなる人材が企業に求めている要素を、仕事、待遇、働き方、将来のライフキャリアなどの観点でつかむことも求められるようだ。それらについて自社が提供できることを伝える「アトラクト(魅力要因による引きつけ)」が重要なのだという。

同社は「採用を人事だけで進めるのではなく、経営層と配属先の上長など現場も一体となって取り組み、必要な人材の明確化を進め、求職者をアトラクトする企業が、人手不足社会・エイジング社会の人材獲得競争で優位に立つ」と提言した。

まとめ

人口減少による構造的人材不足や変革を推進する人材へのニーズなどにより、キャリア採用市場は活況化。ターゲット層にも変化が起きており、年齢以外の要素を重視した評価・報酬制度の重要度が上がっているようだ。

また同社は「越境転職」の増加にも注目しており、ポータブルスキルレベルでの人材像が定義・明示できているかがポイントとなっていることを解説した。

同社は本レポート内において、17業界ごとの転職市場最新トピックスを紹介している。今後の採用計画をブラッシュアップしていく際にはぜひ参考にしていただきたい。