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女性管理職の割合が1割超えも、「女性の昇進意欲」に企業規模間で差 TDB調査

2024.08.26

企業における女性活躍の推進がますます求められるようになっており、政府の「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針2024)では、東証プライム市場に上場する企業の女性役員の割合を「2025年までに19%」にするという新たな目標が掲げられている。

そうした中、株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、「TDB景気動向調査2024年7月調査」とともに、女性登用に対する企業の見解についての調査を実施。全国1万社以上から回答を得た調査結果の概要をお伝えする。

参考:「女性版骨太の方針2024」を決定しました(内閣府)

調査概要

◆調査期間:2024年7月18日~7月31日
◆調査対象:全国2万7191社
◆有効回答企業数:1万1282社(回答率41.5%)
◆出典:女性登用に対する企業の意識調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

女性管理職割合の平均が調査開始以来初めて10%台に

女性管理職割合の平均が調査開始以来初めて10%台に

本調査で、自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねると、「30%以上(11.4%)」「20%以上 30%未満(6.4%)」「10%以上 20%未満(9.1%)」「10%未満(25.5%)」となり、管理職に占める女性の割合の平均は10.9%と調査開始後初めて10%台に乗ったことがわかった。一方で、管理職が全員男性である企業は43.0%と前年から2.1ポイント低下したが、全項目のうち最も高いことも明らかになっている。

女性管理職の割合を企業規模別にみると、「大企業」が平均7.6%で最も低い。「中小企業」は11.5%、うち「小規模企業」は14.4%となり、規模が小さい企業ほど女性管理職割合の平均は高い状況が続いているという。

また、自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均13.5%と、前年(13.1%)から0.4ポイント増えて、過去最高となったことも判明。一方で、役員が全員男性の企業は52.4%と依然として半数を超えたという。 規模別では「大企業:6.7%」「中小企業:14.8%」うち「小規模企業:19.1%」となり、女性管理職と同様に規模が小さい企業ほど割合が高い結果となったことが報告された。

「女性管理職割合の増加」を見込む企業は約3割

「女性管理職割合の増加」を見込む企業は約3割

さらにTDBは、自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか質問。その結果、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.7%となったことがわかった。 女性役員については、今後「増加する」と考えている企業は13.0%となった一方で「変わらない」は57.2%と過半数を占める。 従業員数別に見ると「301人以上」では女性管理職の割合が今後「増加する」と見込む企業は65.0%と全体(32.7%)を32.3ポイント上回り、女性役員の割合についても全体より15ポイント近く高いという。

また、2023年3月期決算の有価証券報告書から「女性管理職比率」や「男女間賃金格差」などの開示が義務化された「上場企業」では、今後女性管理職が「増加する」と考えている企業の割合が67.1%となり、全体より30ポイント以上高かったことも判明した。

女性活躍推進策と課題

女性活躍推進策と課題

TDBでは、女性の活躍推進のために自社で行っていることについても質問。トップは「性別に関わらず成果で評価(61.2%)」だったという。次いで「性別に関わらず配置・配属(50.6%)」「女性の育児・介護休業の取り組み促進(32.8%)」「就業時間の柔軟化(27.5%)」「時短勤務の対応(27.1%)」が上位に並んでいる。

まとめ

女性管理職割合の平均は同社の調査開始以来で初めて1割を超えたものの、管理職全員が男性である企業もいまだに多く、役員が全員男性の企業については半数を超えた。女性管理職については今後約3割が増加を見込むが、役員については今後も変わらないと考える企業が6割近いこともわかっている。

女性管理職の割合が上昇しない要因や課題として、女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい状況にあることが挙げられており、制度や環境の整備で企業がどこまで両立をサポートできるかが、女性の活躍を推進するキーとなりそうだ。また企業規模間での差も見られ、「女性従業員が昇進を望まない」と回答した割合は、大企業の45.7%に対して中小企業が34.4%だったという。女性管理職・役員ともに、大企業の方がその割合が低い傾向にあり、ロールモデルの不在も昇進意欲に影響を与えている可能性がありそうだ。

企業が実際に取り組んでいることとしては、男女平等に関する項目が1位と2位にランクイン。「就業時間の柔軟化」「時短勤務の対応」といった家庭と仕事の両立への支援につながる取り組みはトップ5内に挙げられたものの、およそ4社に1社の割合にとどまっている。まずは男女を問わずに働きやすい環境を整備し、昇進しても家庭と仕事の両立が実現できる職場づくりを目指してみてはいかがだろうか。