掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

地域別最低賃金の改定額 全国加重平均額51円の引上げは制度開始以来の最高額に

2024.08.30

厚生労働省は2024年8月29日、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した、2024年度(令和6年度)の地域別最低賃金の改定額を取りまとめ、発表した(※1)。

過去最高額の引き上げで全国加重平均額は1055円に

過去最高額の引き上げで全国加重平均額は1055円に
出典:令和6年度地域別最低賃金額答申状況(厚生労働省)

厚生労働省によると、答申での全国加重平均額は昨年度から51円引上げの1055円となっている。全国加重平均額51円の引上げは、1978年度に目安制度が始まって以降で最高額となったことが報告された。

47都道府県においては50円~84円の引上げとなる。なお、引上げ額が84円は1県、59円は2県、58円は1県、57円は1県、56円は3県、55円は7県、54円は3県、53円は1県、52円は2県、51円は6県、50円は20都道府県だという。これにより全ての都道府県で最低賃金が950円を超え、16の都道府県で1000円を超えることになるという。

厚生労働省では、最高額に対する最低額の比率について、10年連続での改善となったことも明らかにしている。最高額は東京の1163円、最低額は秋田の951円で、比率は昨年度から1.6ポイント上昇して81.8%となった。

答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続きを経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定だ(※2)。

出典元:全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました(厚生労働省)

まとめ

2024年度の最低賃金引上げについて、27県が国が提示した目安額の50円を上回る結果となった。中でも徳島県では84円引上げとなっている。

東京商工リサーチが2024年8月に発表した調査(※3)では、最低賃金改定で許容できる上昇額が「50円以上」と回答した企業は64.6%と、2023年8月の調査時よりも14ポイント上昇したことが明らかになっている。一方では17.1%が「許容できない」と回答しており、賃上げ負担が重い企業も存在するようだ。

コロナ禍からの業績回復、適正な価格転嫁などで賃上げ原資が確保できている企業にとっても、最低賃金の引上げはメリットばかりとも言えない。いわゆる“130万円の壁”もあって、働き控えに動く非正規社員もいることが想定されるからだ。企業によっては、今回の引上げで人手不足が加速する可能性もある。

厚生労働省は短時間労働者が年収の壁を意識せずに働ける環境づくりを後押しするとして、助成金(※4)で企業を支援する。10月の引上げに向けて、活用を検討してみてはいかがだろうか。

※1:今回の取りまとめは、7月25日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を取りまとめたもの。令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について
※2:効力発生日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性がある
※3 出典元:最低賃金改定で「給与を見直す」企業 4割 約2割は現在、 10月以降の最低賃金を下回る時給(株式会社東京商工リサーチ)
※4 出典元:年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)