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10月の企業倒産件数は925件、30カ月連続で前年同月を上回る TDB調査

2024.11.12

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年10月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。ここでは業種別、主因別、倒産態様別の分析結果を紹介する。

調査概要

集計期間:2024年10月1日~10月31日
発表日:2024年11月11日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
出典元:レポート 倒産情報(株式会社帝国データバンク)

10月の企業倒産件数は前年同月比で17%増、2024年で2番目の高水準

10月の企業倒産件数は前年同月比で17%増、2024年で2番目の高水準

TDBによると、倒産件数は925件(前年同月790件、17.1%増)となり、30カ月連続で前年同月を上回っている。2024年では5月(1016件)に次いで2番目に多く、10月としては2013年(918件)以来の900件超えとなったことが報告された。

負債総額は1755億6800万円(前年同月3055億8400万円、42.5%減)となり、3カ月連続で前年同月を下回ったものの、2024年では2番目に多いという。

業種別分析:7業種中6業種で前年同月を上回る

業種別分析:7業種中6業種で前年同月を上回る

TDBによる業種別の分析結果を見ると、2024年10月の倒産件数は7業種中6業種で前年同月を上回っていることがわかる。特に多いのは「サービス業(前年同月187件→237件、26.7%増)」「建設業(同162件→201件、24.1%増)」「小売業(同165件→188件、13.9%増)」など。また「運輸・通信業(同35件→40件、14.3%増)」は5カ月ぶりに前年同月を上回ったという。

さらに細かくみると、小売業では「飲食店(前年同月67件→91件)」が、サービス業ではソフトウェア開発など「広告・調査・情報サービス(同70件→94件)」が、前年同月を大幅に上回っている。

主因別「販売不振」が最多

主因別「販売不振」が最多

TDBの報告によると、主因別では「販売不振 752件(前年同月622件、20.9%増)」が最も多く、全体の81.3%(対前年同月2.6ポイント増)を占めるという。その内訳を業種別にみると「サービス業(前年同月137件→188件)」「小売業(同139件→166件)」が特に多いようだ。

また「業界不振(同5件→6件、20.0%増)」などを含めた「不況型倒産」の合計は763件(同635件、20.2%増)となり、30カ月連続で前年同月を上回ったことも判明している。

粉飾決算発覚やコンプライアンス違反などの「放漫経営(前年同月13件→26件、100.0%増)」は前年同月を上回り、約2年ぶりに20件を超えている。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

倒産態様別、「破産」が3カ月ぶりに800件台

倒産態様別、「破産」が3カ月ぶりに800件台

続いてTDBは倒産態様別の分析結果について報告。「清算型」倒産が902件(前年同月765件、17.9%増)で全体の97.5%(対前年同月0.7ポイント増)を占めたことがわかった。なお「再生型」倒産は23件(同25件、8.0%減)発生し、4カ月ぶりに前年同月を下回ったという。

「清算型」では「破産」の 864件(前年同月735件、17.6%増)」が最も多く、3カ月ぶりに800件台を記録している。また「特別清算 38件(同30件、26.7%増)」は4カ月連続で前年同月を上回っている。

「再生型」では「民事再生法 23件(同25件、8.0%減)」が4カ月ぶりに前年同月を下回っており、このうち個人が19件、法人が4件だったことも報告された。

まとめ

TDBは注目の倒産動向として、ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産が前年同月の約3割増となり、2024年1-10月累計が前年同期を100件上回る627件になったことを報告した。そのほか、人手不足倒産と物価高倒産の年間件数が過去最多を更新した点にもTDBは注目。多くの企業にとって課題となっている様子がうかがえる。

今後の見通しについてTDBは、現在のペースで推移すれば年間合計が2013年以来11年ぶりの1万件台が視野に入ると予測。物価高や賃上げが収益に影響している企業も多いと推察され、厳しい状況が続きそうだ。