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リスキリングに取り組んでいる企業は8.9%。課題は時間と人材の確保 TDB調査

2024.11.21

帝国データバンク(以下:TDB)は、リスキリングに対する企業の取り組み状況やその内容、課題について調査を実施。「人への投資」による生産性向上が、企業経営にとって看過できないテーマとなる中、リスキリングへの注目度が高まっていることを受け実施されたもの。

調査概要

調査期間:2024年10月18日~10月31日
調査対象:全国2万7008社
有効回答企業数:1万1133社(回答率41.2%)
出典元:リスキリングに関する企業の意識調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

リスキリングに積極的な割合は26%。「情報サービス」「金融」で高い傾向

リスキリングに積極的な割合は26%。「情報サービス」「金融」で高い傾向

TDBによると、リスキリングに関する取り組み状況を尋ねる項目で「取り組んでいる」と回答した企業は8.9%にとどまった。また、今後に意欲的な「取り組みたいと思う」は17.2%で、合計した「リスキリングに積極的」である割合は26.1%という結果となったことが報告された。

一方「取り組んでいない」は46.1%にも及んでおり、半数近くが消極的である現状が浮き彫りに。「意味を理解できない(9.5%)」「言葉も知らない(10.1%)」といった回答も寄せられている。

TDBはリスキリングに「取り組んでいる」企業について業種別で分析。「情報サービス(20.5%)」「金融(19.5%)」が高い状況にあると報告した。

また、規模別の分析では、大企業は「取り組んでいる」と回答した企業が15.1%、中小企業では7.7%、小規模企業では6.0%となっている。今後「取り組みたいと思う」と感じる割合においても、大企業のほうが割合は高いようだ。

取り組む際の課題は「対応する時間と人材の確保」がトップ2

取り組む際の課題は「対応する時間と人材の確保」がトップ2

続いてTDBは、従業員の過不足感別に取組状況を分析しており、人手不足(従業員が「不足」と回答)を感じている企業では、リスキリングに取り組んでいる割合は10.0%であった。従業員が「適正」「過剰」と感じている企業より高い結果となったが、大きな差はみられなかったという。

また、リスキリングに「積極的(取り組んでいる/取り組みたいと思う)」な企業に対して、その内容を尋ねた項目では「従業員のスキルの把握、可視化(52.1%)」が最も多い回答となっている。ほとんどの項目でリスキリングに「取り組んでいる」企業の方が高い割合を示したものの、当項目では「取り組みたいと思う」企業の方が高い(48.3%→54.0%)という。

リスキリングに取り組む上での課題については「対応する時間が確保できない(42.1%)」「対応できる人材がいない(38.9%)」に回答が集まっている。また「取り組んでいない」企業においては時間・人材・ノウハウ・費用などのリソース不足が大きな課題となっていることも明らかになった。一方で「取り組んでいる」企業においては従業員のモチベーション維持に課題があると回答した企業が多く見られたという。

まとめ

注目を集めるリスキリングだが、現時点で実際に取り組んでいる企業はそう多くないことが明らかになった。時間や人材といったリソース不足が障壁となって取り組めていない企業が多い中、取り組んでいる企業においては従業員のモチベーション維持が課題に。取り組みを始められたとしても、継続していくことの難しさもあるようだ。

リスキリングに取り組んでいくにあたってはリソースの確保はもちろんのこと、自発的に取り組みたいと思えるよう、なぜリスキリングが必要なのか目的を明らかにし、明確な目標設定をすることが重要ではないだろうか。今後のリスキリングへの取り組み方について改めて検討する機会としていただきたい。