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2024年11月までの「人手不足倒産」は266件で年間最多を更新 TSR調査

2024.12.11

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年(1-11月)の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち、後継者難を除く「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。

2024年11月の全国企業倒産は841件 人手不足倒産は前年同月比25%増

2024年11月の全国企業倒産は841件 人手不足倒産は前年同月比25%増

TSRは2024年11月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)について、件数が841件(前年同月比4.2%増)で、負債総額は1602億2300万円(同68.8%増)だったことを報告位している。年間件数では9164件となり、すでに2023年の年間件数(7880件)を超えた。

TSRは分析の結果、人手不足が企業経営に深刻な影響を及ぼしていると指摘する。2024年11月の「人手不足」を一因とした倒産は20件で前年同月比25.0%増に。1-11月の累計では266件と、前年同期比83.4%増にも達したという。年間最多だった2023年の年間159件はすでに7月には上回っており、TSRは2024年は300件に迫るとみている。

TSRの報告によると、内訳は「求人難 107件(同94.5%増)」が最多。次いで「人件費高騰 93件(同72.2%増)」「従業員退職 66件(同83.3%増)」が続き、いずれも年間では過去最多を記録したという。TSRはコロナ禍が落ち着きを見せると同時に、人手不足が顕在化したことで、資金力が追いつかず賃上げに踏み切れない中小企業の劣勢ぶりが要因にあると分析している。

なお産業別では「サービス業他 79件(前年同期比64.5%増)」「建設業 72件(同166.6%増)」「運輸業 61件(同69.4%増)」と、労働集約型産業が目立つ。形態別は「破産 245件(同78.8%増)」が9割(構成比92.1%)を占めるという。資本金別では「1千万円未満が168件(前年同期比95.3%増、構成比63.1%)と多くを占めた。

出典元:2024年11月の全国企業倒産841件(株式会社東京商工リサーチ)
出典元:2024年1-11月「人手不足」倒産266件 人材難の中小企業が押し上げ、年間最多を更新(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

TSRは、賃金水準が大手に届かない小・零細企業において、人手不足がより深刻化していると分析。人手不足が要因となり受注機会の喪失や事業再生のめどが立たないという状況に追い込まれ、債務整理で破産せざるを得ない状況となっていると推察される。

TSRによれば、2024年1-11月の全国企業倒産件数は9164件と、昨年を16%以上上回っていることが報告されている。その中で前年同期比83.4%となった人手不足倒産が、いかに深刻な状況にあるかは言うまでもないだろう。

特に厳しい状況にある中小企業においては、価格転嫁や生産性向上への取り組み、ビジネスモデルの転換など、生き残りに向けた経営改善がより重要となっている。