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2024年経営コンサルタント業の倒産が過去最多の154件に TSR調査

2025.01.14

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、日本産業分類(細分類)の「経営コンサルタント業」を抽出し、集計開始の2005年から2024年までの倒産を集計、分析した。参入障壁が低いコンサル業界だが、コロナ禍を経て顧客ニーズの高度化が進む中で専門性が求められるケースが増加し、淘汰が加速しているようだ。

「不況型倒産」を中心に過去最多の154件

「不況型倒産」を中心に過去最多の154件

TSRは2024年の「経営コンサルタント業」の倒産について、154件(前年比7.6%増)となったことを報告。集計開始以降で年間最多だった2023年の143件を上回り、過去最多を更新したという。

原因別の分析を見ると、販売不振や既往のしわ寄せなどを含む「不況型倒産」が102件(構成比66.2%)を占めている。

形態別では、最多が「破産」の147件(構成比95.4%)で「特別清算」の5件と合わせ消滅型が152件(同98.7%)と報告された。一方、再建型の民事再生は2件にとどまり、信用を棄損したコンサル会社の再建は難しいことがわかる。

資本金別では、1億円未満の中小企業が152件(構成比98.7%)とほぼ全てを占めており、従業員数別でも5名以下の小規模事業者が143件(同92.8%)であったという。参入の容易さから新規参入が相次ぐ一方で、資産背景に乏しい中小コンサルタントが売上不振に喘いでいるようだ。

TSRはこれらの結果に対して「事業再生やDX支援、M&Aなど、顧客のニーズが高度化しているなかで専門性が求められる時代に入り、経営環境の変化に対応するのは難しいようだ」との見解を示した。

出典元:「経営のプロ」コンサルの倒産が過去最多 顧客ニーズの高度化と求められる専門性、淘汰が加速(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

2024年は倒産件数が11年ぶりに年間1万件を超えるともみられており、企業にとって苦しい1年となった(※1)。経営コンサルタント業においても前年を7%以上上回り、過去最多を更新している。

戦略系、士業などの専門系、政策系など業務や業種により多様化し、さらにはDX支援やM&A支援、自治体からの補助金申請のアドバイスなど多岐に広がるコンサル業。今後も生き残り競争はさらに激化していくことだろう。

TSRはコンサル業においては属人的な性質の強さから、優秀な人材を確保することが重要だと指摘する。付加価値となる特色を持ち、実績をもとにいかに顧客のニーズに応えていけるかが、今後の業績を大きく左右するのではないだろうか。

※1 出展元:企業倒産は11年ぶりの年間1万件をにらむ=2024年を振り返って(2)