IT人材の採用目標達成に苦戦する企業は2割程度の見込み レバテック調査
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レバテック株式会社は、IT人材を採用する企業担当者1000名とIT人材3000名に調査を実施。調査結果をまとめた「レバテックIT人材白書2025」を作成し、公開している。
調査概要
調査年月:2024年11月22日~2024年11月29日
調査方法:インターネット調査
調査主体:レバテック株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
企業側調査:
<有効回答数>1000s
<調査対象>IT人材を採用する企業担当者
人材側調査:
<有効回答数>3000s
<調査対象>20歳~59歳 IT人材
出典元:レバテックIT人材白書2025(レバテック株式会社)
引き続き活況なIT人材採用市場、約4割の企業が採用人数を「増加」
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本レポートを見ると、今年度の採用人数について、約4割の企業が昨年度と比較して「増加した」と回答したことがわかる。同社は昨年度の調査*1でも同様の結果となっていることに触れ、採用人数の増加が続いていると報告した。
また、2024年度のエンジニア採用目標については「目標達成済み」「目標達成進捗である」と回答した企業は全体の45.0%であったという。一方で、約2割の企業が「目標達成が難しい可能性がある」「目標には大きく届かない見込み」と回答。採用に苦戦している企業も一定数存在していることがわかる。
参考:IT人材に関する調査レポート、「レバテックIT人材白書2024」を公開(レバテック株式会社)
2025年は"攻めの採用"へ 生成AI導入の動きも注目
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同社は今年度、新たに採用チャネルを増やした企業は35.7%であったことを報告。中でも顕著なのは「スカウト型の求人媒体(47.6%)」の増加だという。これまでの求人掲載といった手法に加え、企業側からのアプローチに注力する「攻めの採用」に取り組んでいる企業が増えているようだ。
さらに、同社は採用活動における生成AIの活用に注目。既に導入済みの企業は約2割、今後導入を検討している企業は3割以上にのぼることを報告した。主な活用目的としては「求人票の作成(46.1%)」「採用計画の立案(41.3%)」「スカウト文の作成(40.3%)」が挙げられているという。
IT人材の転職意欲と年収アップの現状
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本調査では続いて、現在の転職意欲について質問しており、転職活動中と検討中の人を合わせると、約4割のエンジニアが転職を視野に入れていることがわかったという。内訳としては「転職活動を始めている:7.9%」「検討している:30.7%」であったことが報告された。
さらに、転職活動中または検討中の人が想定している転職時期については「特に決めていない(35.8%)」「6カ月以内(15.7% )」「1年以内(15.7% )」との回答が上位に並んだという。
また、転職後の年収変化については、約6割の転職経験者が直近の転職で年収が「増えた」と回答したことも判明。年収の増加幅は「10万以上30万未満(22.5%)」が最も多い一方で「100万円以上(24.2%)」と、大幅な年収アップを実現した人も一定数存在することがわかった。
まとめ
IT人材の不足は社会全体の大きな課題となっており、経済産業省は2019年に発表した資料の中で、2030年には最大で79万人もの不足に陥る可能性を指摘していた。本調査においても売り手市場が続いている実態が明らかになり、人材獲得に苦労する企業も少なくなさそうだ。
IT人材の約4割は転職を視野に入れており、今後も活況な採用市場となることが見込まれる。企業は離職防止と採用強化の取り組みを並行して行っていく必要がありそうだ。また、既存社員を育成する動きも、今後より重要視されることだろう。
参考:ーIT人材需給に関する調査ー調査報告書,(経済産業省)