2024年首都圏から地方へ本社を移転する企業が過去最多に TDB調査
帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉:1都3県)と地方間をまたいだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主、非営利法人等含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析を行った。ここでは分析結果の概要をお伝えする。
※本社とは、実質的な本社機能(事務所など)が所在する事業所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースがある ※首都圏の企業転出・転入は、首都圏内外をまたぐ道府県との本社移転を指しており、首都圏内での県境をまたぐ本社移転は含まれない
首都圏企業の本社移転、4年連続の転出超過
TDBの発表によると、2024年に首都圏から地方へ本社を移転(転出)した企業は、年間で363社に上ったという。2023年(347社)と比較すると16社・4.6%の増加となり、1990年以降で最多を更新。さらに、1990年以降で初めて4年連続での年間300社超えとなったことが判明した。
逆に、地方から首都圏へ本社を移転(転入)した企業は、年間で296社だったという。2023年(310社)と比較すると14社・4.5%の減少で、2年ぶりに300社を下回ったことが報告されている。
転出企業数から転入企業数を差し引いた「転出超過社数」は67社となり、前年の37社から30社・81.1%増と大幅に増加。4年連続で転出超過を記録している。転出超過の規模は、過去20年で2022年(77社)に次いで2番目に多い水準だという。
TDBはさらに、首都圏から地方へ移転した企業の転出先を地域別に分析。最も多いのは「大阪府(51社)」で、社数としては過去最多となったことが判明した。そのほか「静岡県(34社)」「兵庫県(21社)」など8府県が過去最多(最多タイを含む)を記録したという。このうち「富山県(6社)」「石川県(5社)」はともに首都圏からの転出先として過去最多に。「福井県(3社)」を含めた北陸3県でみても、転出先として1990年以降で最多社数だという。なお、地方から首都圏へ移転した転入元では「大阪府(58社)」「愛知県(33社)」「福岡県(23社)」が上位となっている。
TDBはそのほか、業種別では「サービス業」が最も多く転出・転入したこと、転出企業のうち37.8%が前年から「増収」となっていることなどを報告した。
出典元:首都圏「本社移転」動向調査(2024年)(帝国データバンク)
まとめ
TDBによれば2024年は、テレワークの縮小・廃止や、対面ビジネスへの復帰などの影響で、首都圏から転出する動きは弱まると予測されていたという。しかし実際には、転出する企業が過去最多を記録。TDBはこれまでのトレンドが変化しつつあることを指摘した。
BCP対策や地方創生への貢献、従業員のワークライフバランス向上など、地方移転には様々なメリットが挙げられる。
2024年10月、政府は「新しい地方経済・生活環境創生本部」を設置。地方創生2.0の始動に向けた議論が重ねられている。こうした流れも後押しとなり、今後も首都圏からの転出超過が続いていく可能性は高いだろう。
参考:新しい地方経済・生活環境創生本部(内閣官房)














