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正社員「不足」と感じている企業はコロナ禍以降最高の53.4%に TDB調査

2025.02.25

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、国内企業の人手不足動向について調査・分析を実施。正社員・非正社員不足を感じている企業の割合や、人手不足企業における賃上げの実施予定などを明らかにしている。なお、TDBでは雇用の過不足状況に関する調査を2006年5月より毎月実施しており、今回は2025年1月の結果が報告された。

調査概要

調査期間:2025年1月20日~1月31日
調査対象」全国2万6765社
有効回答企業:1万1014社
回答率:41.2%
出典元:人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)(株式会社帝国データバンク)

焦点は賃上げ?正社員不足の企業が53.4%に

焦点は賃上げ?正社員不足の企業が53.4%に

TDBの報告によると、2025年1月時点で正社員が「不足」と感じている企業の割合は53.4%となり、コロナ禍(2020年4月)以降で最も高い結果になったという。1月としてもこれまでで最も高かった2024年(52.6%)を上回っており、4年連続の上昇となった。

なお、非正社員の不足を感じている企業は30.6%だったことが併せて報告されている。1月としては2年ぶりに3割を上回り、過去4番目(過去最高=2019年、34.4%)の水準だという。

こうした結果を受けてTDBは、今後の人材確保・定着に向けては初任給などの賃上げが焦点になるとの見解を発表。TDBは2月20日に発表した「2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査(※1)」で、2025年度における正社員の賃上げ実施を見込んでいる企業の割合は、61.9%だったことを紹介。さらに、その内訳を雇用過不足感別に比較した結果、人手不足を感じている企業では68.1%にのぼり、全体を大きく上回ったことを報告している。

TDBは賃上げ動向に関する調査を毎年1月に実施しており、2020年度以前は6割をやや上回る水準で推移していたものの、コロナ禍には5割台に低下。2023年度は飲食料品や日用品の値上げが相次いだことを受けて賃上げ機運が高まり、79.8%まで上昇している。2025年度、前年度比+2.2ptの68.1%となったことから、足元ではコロナ禍以前を上回る賃上げ機運が生じていることがうかがえる。

※1出典元:2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査(株式会社帝国データバンク)

まとめ

TDBの報告によれば、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」は、2024年に342件発生したという(※2)。2013年の調査開始以降、2年連続での過去最多更新となり、さらに2025年1月の発生件数も月次ベースで過去2番目の件数であることが判明。2025年も人手不足倒産が高水準で発生し続けるとみられている。

賃上げが人材確保・定着における重要なポイントとなりつつある一方で、賃上げ機運に追いつけない中小企業が増加することも懸念されている。福利厚生を活用した新たな形での賃上げの導入など、賃上げ余力を有しない企業においては今後さらなる工夫が必要となりそうだ。

※2出典元:人手不足倒産の動向調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)