8割超の企業で物価高の影響により総コストが上昇!平均2割UP TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は2025年2月3日〜10日にインターネットによる「物価高・価格転嫁に関するアンケート」を実施。4103社から寄せられた回答を集計・分析し、発表した。
調査概要
調査期間:2025年2月3日~10日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:4103社
出典元:企業の物価高 直近1年で総コストは平均2割上昇、価格転嫁は上昇分の1割(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義
8割超の企業で総コストが上昇 上昇幅は?
TSRはまずはじめに「Q1.物価高や人件費高騰、円安の影響などによって、貴社の総コスト(原価・販売管理費)は1年前と比較して何割上昇していますか?」と質問。「1割以上2割未満(35.4%/1453社)」「2割以上3割未満(25.4%/1043社)「上昇なし(13.8%/567社)」など、86.1%(4103社中、3536社)の企業において上昇したことが判明した。
規模別で見ると「1割以上2割未満」は大企業49.3%(235社中、116社)、中小企業34.5%(3868社中、1337社)だったほか「2割以上3割未満」は、大企業20.0%(47社)、中小企業25.7%(996社)で、中小企業が上回ったことがわかる。
また、産業別の集計結果を見ると、上昇した回答が最も多かったのは運輸業の93.3%(150社中、140社)、最低は金融・保険業の68.7%(48社中、33社)だったことが報告されている。レンジ別では10産業すべて「1割以上2割未満」が最も多く、情報通信業は全産業平均の35.4%を上回る44.1%にも。及ぶという。
続いて「Q2.総コスト増加のうち、何割を価格転嫁できていますか?」との設問では78.8%(3056社中、2409社)が総コストを価格転嫁できていると回答。しかし、レンジ別では「1割以上2割未満(27.8%/850社)」が最も多く、次いで「価格転嫁できていない(21.1%/647社)」が続いている。規模別の集計結果を見ると「2割以上」の価格転嫁ができている大企業は59.7%(169社中、101社)である一方、中小企業は50.5%(2887社中、1458社)となっている。
まとめ
多くの企業において、直近1年で総コストが平均2割上昇していることが判明。その一方で、価格転嫁は十分に進んでいない様子がうかがえる調査結果となっている。
TSRは本調査結果を受けて「価格転嫁がしにくい背景は、取引構造や商慣習だけなのか、自社の商品やサービスが競争力を失い、代替可能性が高まっている恐れはないのか。高い価格でも受け入れられる努力を欠かすことはできない」と指摘する。
政府は価格転嫁サポートの窓口も設置しているが、企業は積極的な価格交渉をできる環境の整備に努めていく必要があるだろう。今後どのように取り組んでいくか、改めて検討する機会としていただきたい。
参考:価格転嫁サポート窓口(中小企業庁)











