2025年、値上げ品目累計1万品目を前年より4カ月早く突破 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2025年3月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を実施。2025年3月の飲食料品値上げが合計2343品目となり、8月までの公表分で2025年の累計が1万品目を突破したことなどを報告した。
出典元:「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年3月(株式会社帝国データバンク) ※品目数および値上げは、各社発表に基づいており、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントしている ※値上げ率は発表時点における最大値を採用しており、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む
3月は2343品目が値上げ 全食品分野で最多は「加工食品」
TDBの発表によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした3月の飲食料品値上げは2343品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均17%となっている。単月の値上げ品目数としては1月以降3カ月連続で前年同月を上回った(+1576品目・+205.5%)という。また、単月として2千品目を超えるのは2024年10月以来5カ月ぶりであることが報告された。
食品分野別の集計結果を見ると、冷凍食品やチルド麺製品といった「加工食品(1381品目)」が最多と報告されている。加工食品が単独で1千品目を超えるのは2024年4月以来11カ月ぶりのこと。また「乳製品(284品目)」は2023年8月(360品目)以来1年7カ月ぶりの多さであったという。
2025年累計は1万品目を突破
さらにTDBは、2025年通年の値上げは8月までの公表分で累計1万797品目に上ったことを報告している。調査を開始した22年以降4年連続で、年間1万品目を突破していることになる。また、24年は6月に1万品目到達が判明したが、25年分では2月と前年より4カ月早いペースに。年間の1回当たり平均値上げ率は16%となっている。
食品分野別ではスパイス製品など「調味料(3240品目)」が最も多く、冷凍食品やパックごはんなど「加工食品(2947品目)」ボトル飲料など「酒類・飲料(2077品目)」が続いた。
値上げ要因としては「原材料高(98.0%)」が最多となり、要因の集計を開始した23年以降で最も高い水準だという。「物流費(80.9%)」由来の値上げは、集計開始以降で初めて8割に到達。前年の26.5%から2割近く上回ったのは「人件費(43.5%)」由来の値上げであった。一方「エネルギー(61.3%)」は前年をわずかに上回ったほか「円安(13.5%)」は前年の28.1%から1割超下回ったことも報告されている。
4月には年間の値上げが前年実績を上回る見通し
TDBは現状について、円安水準が長期化し、輸入食材などで値上げ圧力が高まりつつあるほか、国内調達の原材料でもコメをはじめとした生鮮食材の価格が上昇していると解説。原材料以外にも包装資材を含めたモノ由来の値上げや、物流費や人件費などサービス由来のコスト、原油や電気・ガス代などエネルギーを要因とした値上げの割合も上昇傾向が続いているようだ。
こうしたなか、企業努力によるコスト吸収では各種生産コストの上昇分を補いきれず、利益が減少するケースも発生しているという。こうした情勢の中で、販売価格への転嫁は避けられないと考えられる。小売現場では消費者の値上げに対する拒絶反応から販売数量の減少といった影響もみられる。しかしながら全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年に比べ、2025年の値上げ動向は今夏にかけて断続的な値上げラッシュの発生が見込まれるとTDBは予測。2025年の値上げ品目数は、早ければ4月にも予定ベースで前年実績(1万2520品目)を上回り、年間累計では2万品目前後に到達する可能性があることを指摘した。
まとめ
原材料の高騰や賃上げの影響から、2025年も飲食料品における値上げの波は止まらないようだ。3月の値上げ品目数は前年の3倍を超えており、年間の値上げは4月に前年実績を上回る見通しが報告されている。
値上げの勢いは消費の減少を招く可能性もあり、小売現場では販売数量の減少がみられているという。国内景気の回復には個人消費の増加が不可欠だと考えられるが、この値上げラッシュがどう影響するか、引き続き今後の値上げ動向や景気動向を注視したい。











