父親の出産・育児休暇「1カ月以上」が3年で約3倍に ベネッセ調査

株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役会長兼社長:岩瀬大輔、以下:ベネッセ)の妊娠・出産・育児事業を展開する「たまひよ」は、2024年秋に全国の乳幼児を持つ父母約2000人を対象に、妊娠・出産・育児に関する調査を実施。調査結果を「たまひよ妊娠・出産白書2025」として公開した。本調査は、妊娠・出産・育児を取り巻く環境が変化し続ける中で、父母の実態を継続して調査・分析することが目的。2020年から毎年実施しており、今年が5年目となった。
調査概要
調査期間:2024年9月5日~11日
調査方法:WEB調査
調査対象者:全国の生後0カ月~1才6カ月の子どもを持つ母親・父親(『たまごクラブ』『ひよこクラブ』購読経験者)
有効回答数:2062人(母親1649人・父親413人)
調査内容:産前産後での父母の意識や、父親の育休取得を含む育児環境や育児への関わりかた等
出典元:たまひよ妊娠・出産白書(株式会社ベネッセコーポレーション)
※休暇日数:乳幼児を持つ父親が、出産・育児のために休みを取った日数の合計で「育児休業制度利用」「出生時育児休業利用」「勤務先が定める特別休暇」「有給休暇」等の休みを含む
父親が出産・育児で取得した休暇日数は長期化の傾向

本レポートを見ると、休暇日数について「2週間~1カ月未満」「1カ月~3カ月未満」「3カ月~半年未満」「半年~1年未満」「1年以上」が3年連続で増加していることがわかる。「1カ月以上」の取得合計は34%となり、3年前の12%と比較して3倍近くとなった。
また、取得した休暇の種類として「産後パパ育休(出生時育児休業)」が昨年から9.5pt増加し32.4%と、利用が拡大していることが判明。さらに、休暇を取得しなかった人の割合は9.8%と1割未満にとどまっており、2年連続で減少したという。男性の出産・育児への関わり方が変化している様子がうかがえる。
「出産・育児がしやすい」母親は1割に対し父親は3割

本レポートでは出産・育児に対する父母の意識についても調査結果が報告されており「出産・育児がしにくい」と思う母親は昨年とほぼ変わらず72.1%で、父親の割合は昨年より減少し50.1%となったことがわかった。一方で「出産・育児がしやすい」と思う母親は12%だったが、父親は33.7%に。この父母の意識の差は昨年の14%から7ポイント増加し、21.7%に広がっている。
また、家族計画に関する設問で「子どもをあと1人以上欲しい」と回答した母親は4年連続での減少となり「もっと欲しいが難しい」との回答の増加傾向も続いていることが報告された。
まとめ
本レポートからは、男性の育児・出産への関わり方が変化している様子がうかがえる。意識面でも「出産・育児がしやすい」と感じている男性は増加傾向にあるようだ。しかし、母親側の感覚には大きな変化がなく「出産・育児がしにくい」と感じる女性や「子どもをもっと欲しいが難しい」と考える女性は依然として多い実態も明らかになった。
育児には時間もお金もかかる。それも一時的なものではなく、長期的にだ。父親の休暇取得が母親の負担を一時的に軽減することにはなっても、育児全体で考えれば大きな負担軽減にはつながらないのが現実だろう。
休暇取得の促進により男性の育児参加を後押しする取り組みはもちろん必要だ。それに加えて企業や政府に求められているのは、出産時のみにとどまらない継続的な育児支援だと推察する。多くの女性が「出産・育児がしやすい」と感じる社会の実現に向けて、多様な働き方を可能とする制度や、子育て世帯への支援制度の拡充などが、より一層求められているのではないだろうか。