退職への心理的ハードル「下がっている」と感じる人が9割超 Job総研調査

パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、585人の社会人男女を対象に「2025年 退職に関する意識調査」を実施した。退職代行利用の増加や新卒3年以内の離職率上昇といった状況から、転職周期が変化しているとみた同機関では、退職や転職周期への社会人の意識を明らかにすべく、本調査の実施に至ったという。退職への心理ハードルや入社後3年在籍への賛否、また職場を辞められなかった経験とその理由、同僚の退職に対する印象や今後の転職周期予想、そして早期離職とその影響などを年代別に調査した。
調査概要
調査対象者:現在職を持つJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件:全国/男女/20~50代
調査期間:2025年3月5日〜3月10日
有効回答数:585人
調査方法:インターネット調査
出典元:Job総研『2025年 退職に関する意識調査』を実施を実施しました(Job総研/パーソルキャリア株式会社)
退職への心理的ハードル「下がっている」が9割超 その理由は?

本調査ではまずはじめに「退職に対する心理的ハードル」について質問。「下がっていると思う派」が94.3%で大半を占める結果になったことを報告した。
内訳は「とても下がっていると思う(27.7%)」「下がっていると思う(41.8%)」「どちらかといえば下がっていると思う(24.8%)」となり「下がっていると思う派」の年代別では、20代と40代が96.5%、50代が91.9%、30代は91.0%であったという。
続いて本調査では退職への心理的ハードルが下がっていると回答した552人を対象に、その理由について質問。最も多く寄せられた回答は「一般的な選択肢となっている(79.3%)」だった。次いで「無理に長く勤める必要性がない(51.4%)」「自己成長に前向きな風潮がある(48.7%)」が続いている。
また、回答者全体の585人を対象にした「入社後3年は在籍した方がいいか」との質問には「そう思う派」が59.2%と過半数を占めたことが明らかになった。
辞められなかった経験や同僚の退職への印象は?

次に本調査では、職場を辞めようと思っても辞められなかった経験があるか質問しており「ある派」が54.9%と過半数を占めたことが報告された。内訳は「とてもある(10.1%)」「ある(21.4%)」「どちらかといえばある(23.4%)」であったという。その理由としては「転職先が見つかるか不安(76.9%)」「一時的に収入が減る不安(38.6%)」「現職より悪い環境になる不安(34.0%)」などが多いようだ。
また、同僚の退職による転職意欲への影響を尋ねる項目では「転職意欲が上がる派」が68.1%と7割近くに及んでいる。「とても転職意欲が上がる(10.6%)」「転職意欲が上がる(19.0%)」「どちらかといえば転職意欲が上がる(38.5%)」との内訳になったことが報告された。さらに、同僚の退職でネガティブな印象を持つ年数としては、平均が1.2年以内、中央値が1.0年以内、最頻値が1.0年以内となっている。一方、同僚の退職でポジティブな印象を持つ年数としては、平均が4.2年以降、中央値が3.0年以降、最頻値が3.0年以降となったことが判明した。
今後の転職周期予想と早期離職への意識

さらに本調査では"3年は在籍した方が良い"という意識がない場合の退職のしやすさについて質問。「とても退職しやすいと思う(16.9%)」「退職しやすいと思う(21.5%)」「どちらかといえば退職しやすいと思う(32.8%)」と「退職しやすいと思う派」が71.2%であったことを報告している。また、今後の転職周期予想として、平均が3.2年、中央値が3.0年、最頻値が3.0年となったことも判明した。
また、今の時代に早期離職は当たり前かを尋ねる項目では「とても当たり前だと思う(15.6%)」「当たり前だと思う(25.6%)」「どちらかといえば当たり前だと思う(36.6%)」との回答が寄せられており「当たり前だと思う派」が77.8%にも及ぶことが判明。
なお、転職周期が早まることによる影響については「人材が育成されない(60.9%)」「管理職が減る(35.4%)」「企業の賃上げが必須になる(32.8%)」といった声が多く寄せられたようだ。
まとめ
本調査では9割を超える人が退職への心理的ハードルが下がっていると回答しているものの、半数以上の人は「3年は在籍した方がいい」と考えており、実際に職場を辞めようと思っても辞められなかった経験を持つことも判明。気持ちの面と実際の行動の面とでは、乖離がある状況にあるようだ。早期離職に対しても8割近い人が「当たり前」と感じながらも、同僚の退職が1年以内であった場合にネガティブな印象を抱く人が多いことも明らかになっている。
一方で、4年以降の退職にはポジティブな印象を抱く人が多く、今後の転職周期は3年と予想する人が多いことも判明した。早期離職が当たり前となった今、3年を目処に転職を検討する動きはさらに加速する可能性もある。
本調査結果を受けて同機関は、3年で退職することを見据えた採用や育成、もしくは3年以上勤続する人材を増やす施策など、人材確保に向けた取り組みの方向性を検討する必要があると提言した。自社での状況も踏まえて、今後の取り組みを検討する機会としてみてはいかがだろうか。