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2024年「自己資本比率」分析により二極化の拡大が判明 TSR調査

2025.03.25

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年「自己資本比率」分析調査を実施。調査結果を公表した。調査は、東京商工リサーチが保有する財務データベースから、2023年9月期-2024年8月期を最新期とし、5期連続で財務データの比較が可能な企業(変則決算を除く)を抽出、分析したもの。金融・保険業は本調査の対象から除いている。

企業の財務が二極化 自己資本比率分析調査

企業の財務が二極化 自己資本比率分析調査

TSRの発表によると、自己資本比率50%以上の企業は2020年に比べて2024年は4.2ポイント上昇の44.0%となり、安全性が高まっている状況にあるという。一方で、債務超過の企業は2020年から0.8ポイント上昇し13.7%となり、過去5年の最悪を更新。物価高や原材料高を背景に、企業の財務は二極化が加速しているようだ。

また、TSRは自己資本比率の中央値を算出しており、2024年は43.7%だったことを報告。経済活動の本格的な再開で利益蓄積が進み、2022年から3年連続で前年を上回ったという。

TSRは自己資本比率について、コロナ禍でも借入を抑制し、返済を進めた企業で改善が進んだとの見解を示した。一方、業績悪化で借入依存から抜け出せなかったり、過剰債務の解消が遅れた企業では債務超過が増加したとみられている。

出典元:自己資本比率50%超が44.0%、財務内容が改善 コロナ禍を引きずる宿泊業は17.1%、二極化が拡大(株式会社東京商工リサーチ)

産業別・企業規模別・業種別の分析結果

産業別・企業規模別・業種別の分析結果

なお、産業別で「50%以上」の企業の構成比は、最高が「サービス業他(54.5%)」で、次いで「情報通信業(53.8%)」が続いている。一方「▲0%未満」の債務超過は「建設業(18.0%)」がトップで、約2割の企業が債務超過に陥っていることが判明した。

企業規模別の自己資本比率の中央値は、トップが「中堅企業(50.6%)」で「大企業(50.5%)」で続いている。「中小企業(43.4%)」は4割程度にとどまったものの、2020年からの上昇幅は、中小企業が4.4ポイント上昇で最高だったことが報告された。

業種別では「宿泊業(17.1%)」で唯一20%を下回り、コロナ禍の影響が尾を引いている様子がうかがえる。

まとめ

自己資本比率は企業の財務状況の安定性を示す指標であり、一般的には30%がひとつの目安とされている。自己資本比率の高さだけで財務状況の良し悪しを判断することはできないが、健全な経営ができているか総合的に判断する材料のひとつである。

TSRは本分析結果を受けて「資産を抱え込み自己資本比率が高くても、「稼ぐ力」を疎かにした経営は避けなければならない」と指摘。財務内容の強化と併せて、効率的・機動的な経営による成長性の向上に取り組んでいく必要があると提言した。