電話対応業務担当者の7割超がカスハラ経験も約半数の企業が未対策 リンク調査
株式会社リンク(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡田元治)は、全国の20~99歳の男女を対象とした『業界別 電話業務におけるカスタマー・ハラスメント(以下:カスハラ)対策に関する調査』を実施した。2025年4月に東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が施行開始されるなど、昨今社会的に注目されているカスハラが、電話で顧客と接するコールセンターや問い合わせ窓口でも発生している点に着目した同社。電話業務におけるカスハラの発生状況や、現場での対応・対策に加え、業界別の特徴や違いについて明らかにした。
※本調査における「カスタマー・ハラスメント」とは、顧客や取引先などからの不当または過度な要求・暴言・脅迫といった行為で従業員の業務遂行を妨げ、精神的な負担を与えることを指す
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査主体:株式会社リンク
調査期間:2025年4月30日〜2025年5月7日
調査対象:20~99歳 男女(性別均等割付にて回収)
調査対象地域:全国
回答数:400
出典元:【業界別 電話業務におけるカスタマー・ハラスメント対策に関する調査】 業務で電話対応をする人の7割以上がカスハラを経験。一方で、カスハラ対策実施率は5割に満たない結果に(株式会社リンク)
※グラフ内の数値は小数点第二位を四捨五入し小数点第一位までを表記しているため、単一式回答の合計が100.0%にならない場合がある
カスハラの発生状況と具体的な内容
本調査ではまず、カスハラの発生状況について質問。その結果、全体の75.3%が、電話応対時にカスハラを受けたことがあると回答したことが明らかになった。また、業界別で見ると「福祉関連業(100%)」「建設業(88.9%)」「官公庁・公共・団体(83.9%)」の順番でカスハラを受けたことがある割合が高い結果になっている。
カスハラの内容としては「暴言・罵声を浴びせられた(88.4%)」「延々と同じ内容のクレームを繰り返された(75.4%)」「長時間拘束された(68.1%)」などが多いようだ。
また、カスハラを受けた際の対応については「話を聴きつづけた、または謝りつづけた(62.5%)」「上司に助けを求めた(48.5%)」との回答が多く寄せられている。
カスハラ対策未実施の企業が約半数 具体的な対策方法は?
続いて本調査では、カスハラ対策の実施状況について質問。全体のカスハラ対策実施率は47.0%と、約半数の企業が未実施であることが明らかになった。業界別でみると「建設(55.6%)」や「金融(53.8%)」「IT・通信(50.9%)」といった業界では、対策実施率が比較的高い傾向にあることがわかる。
具体的な対策方法としては「カスハラの発生状況と内容の把握、社内への共有(76.6%)」「対応マニュアルの作成・配布(47.9%)」に取り組む企業が多いようだ。
さらに、対策を進めるうえでの課題について「お客さま第一という考えが強く、カスハラを問題にしにくい(26.3%)」「カスハラの基準づくりに苦慮している(17.3%)」「他の業務が優先で後回しになっている(16.3%)」などが挙げられている。
なお、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の認知度は48.0%だったという。その中で、条例の施行開始に対して期待する効果について「カスハラという問題の認知拡大(61.5%)」「カスハラ加害者への抑止力(49.5%)」といった声が多く寄せられたことも明らかになった。
まとめ
電話対応を担当する人の7割超が経験したことがあるというカスハラについて、企業の対策実施は急務とも言えるだろう。しかし本調査では、既に対策に取り組んでいるという企業は5割未満との結果が報告されている。対策実施にあたっては、顧客からの声に対して「どこからがカスハラなのか」という判断が難しいという課題があるようだ。顧客を第一に考える企業ほど、その難しさがあるだろう。
自社だけでの対応に限界があれば、外部サービスなどの活用も検討すべきではないだろうか。カスハラが従業員にもたらす影響は大きく、離職へとつながる可能性も十分考えられる。顧客満足度の向上と従業員が安心して働ける環境づくりを両立するためにも、今後の対策について検討する機会としていただきたい。














