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先行き不安が影響し設備投資を計画する企業の割合が2年連続で低下 TDB

2025.05.29

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6590社を対象に「設備投資」に関するアンケート調査を実施。設備投資計画の状況やその内容などを明らかにした。設備投資に関する調査は2017年4月以降、毎年4月に実施しており、今回で9回目となる。

調査概要

調査期間:2025年4月16日~4月30日(インターネット調査)
調査対象:全国2万6590社
有効回答企業数:1万735社
出典元:2025年度の設備投資に関する企業の意識調査(株式会社帝国データバンク)

設備投資の計画が『ある』企業は57.4% 2年連続で前年を下回る

設備投資の計画が『ある』企業は57.4% 2年連続で前年を下回る

本調査では2025年度(2025年4月~2026年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねた結果、設備投資計画が『ある(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)』と回答した企業は57.4%となり、前年(2024年度の設備投資計画、2024年4月に実施)から1.3ポイント減少したことが判明。2年連続での低下がみられている。

『ある』と回答した企業を規模別にみると「大企業:70.6%」「中小企業:55.0%」「小規模企業:44.6%」と、規模が小さいほどその割合も小さくなっている。

また、設備投資予定額は平均で1億2429万円と、前年の1億2705万円から276万円減少したことも明らかになった。

設備投資計画の内容は「設備の代替」が最多

設備投資計画の内容は「設備の代替」が最多

続いて本調査では、2025年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業に対し、予定している設備投資の内容について質問。入れ替えや交換、更新など「設備の代替(60.8%)」が、調査を開始した2017年度以降初めて60%を上回り、トップとなったことがわかった。

次いで「既存設備の維持・補修(30.7%)」「(省人化なども含む)省力化・合理化(25.8%)」「DX(デジタルトランスフォーメーション)(20.9%)」「情報化(IT化)関連(20.3%)」が挙げられたという。

TDBは『デジタル投資(「DX」「情報化(IT化)関連」のいずれかを選択)』を検討している企業が32.8%となった点に注目。なかでも「大企業(48.1%)」は「中小企業(29.4%)」を18.7pt上回っており、特にその傾向が強いと報告されている。資金余力が比較的乏しい中小企業においては、設備の価格上昇が投資の足かせとなっている様子がうかがえたという。

設備投資を行わない理由「先行きが見通せない」がトップ

設備投資を行わない理由「先行きが見通せない」がトップ

さらに本調査では、2025年度に設備投資を「予定していない」企業に対して、設備投資を行わない理由について質問。最も高い割合を示したのは「先行きが見通せない(47.9%)」で、前年からの上昇幅(+3.8pt)についても最も大きいという。

以下「現状で設備は適正水準である(25.2%)」「投資に見合う収益を確保できない(コスト上昇は含まない)(15.4%)」「借り入れ負担が大きい(15.0%)」「手持ち現金が少ない(14.2%)」「設備投資にかかるコストの上昇(12.1%)」「自社に合う設備が見つからない(11.9%)」「人件費の高騰による利益率の低下(11.2%)」が続いている。

規模別にみると「中小企業」では「先行きが見通せない」が「大企業」より15.7pt高いほか「借り入れ負担が大きい」「手持ち現金が少ない」も5pt以上上回っており、先行きと資金面に対する強い不安があるようだ。

まとめ

先行きの不透明さが理由となり、設備投資を見送っている企業が多いことが明らかになった。TDBによれば、原材料価格の高止まりなどを背景とした設備投資にかかるコストの上昇や金利の上昇傾向などに対する懸念の声は、設備投資予定の有無に関わらず寄せられているという。

TDBは設備投資を取り巻く環境が決して良好ではない今、補助金等の制度拡充を望む声も大きいとして、国からの多岐にわたる支援策・促進策強化が求められていると指摘する。今後の国の動向についても注目したい。