事業継続計画(BCP)策定企業はわずか20.4% TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6389社を対象に「2025年の事業継続計画(BCP)」に対するアンケート調査を実施した。なお、事業継続計画(BCP)に関する企業の意識調査は、2016年以降毎年実施しており、今回で10回目となる。
調査概要
調査期間:2025年5月19日~5月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国2万6389社
有効回答企業数:1万645社(回答率40.3%)
出典元:事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)(株式会社帝国データバンク)
BCP策定企業が調査開始以来初の2割超も規模間で格差拡大
TDBの報告によると、自社における事業継続計画(以下、BCP)の策定状況について「策定している」と回答した企業の割合(以下:BCP策定率)は20.4%で、調査開始以来初めて2割を超えたという。また規模別の集計では「大企業(38.7%/前年比1.6ポイント増)」「中小企業(17.1%/同0.6ポイント増)」とそれぞれ上昇したものの「中小企業」の伸び率は低く、規模間での策定格差は広がっていることが明らかになった。
TDBは、直近の規模間の差分について、前々回調査(2023年5月)は20.2ポイント、前回調査は20.6ポイント、今回調査は21.6ポイントと、年々BCP策定率の差が拡大していることを指摘。BCPの重要性が認識されつつも、リソースや専門知識の不足などから「中小企業」は対応しきれていない状況にあると分析している。
さらに「現在、策定中(7.4%/前年比0.1ポイント増)」と、「策定を検討している(22.0%/同0.9ポイント減)」を合わせると、49.8%(同0.2ポイント減)が策定意向を持っていることがわかる。一方で「策定していない」企業が41.5%(同0.3ポイント減)と4割を超えている現状も明らかになった。
策定していない理由「スキル・ノウハウの不足」
TDBは続いて、BCPを「策定していない」企業にその理由を尋ねており「策定に必要なスキル・ノウハウがない(42.7%)」がトップとなったことを報告。次いで「策定する人材を確保できない(33.1%)」「策定する時間を確保できない(28.6%)」が続いている。
さらに「中小企業」では「策定する必要性を感じない(19.2%)」「策定する費用を確保できない(15.7%)」がそれぞれ「大企業」より5ポイント以上高い結果となったことも報告された。
想定するリスク「自然災害」が最多
次にTDBは、BCPについて『策定意向あり』とする企業を対象に、どのようなリスクによって事業の継続が困難になると想定しているか質問。その結果、地震や風水害、噴火などの「自然災害(70.8%)」が突出して高い割合を示したという。次いで、サイバー攻撃など含む「情報セキュリティ上のリスク(46.1%)」と、インフルエンザ、新型ウイルス、SARSなどの「感染症(40.6%)」が4割台で続いている。
一方で「中小企業」においては「従業員の退職」や「経営者の不測の事態」「取引先の倒産・廃業」をリスクとして捉える割合が高い傾向がみられたという。
また、事業が中断するリスクに備えて実施あるいは検討している内容としては「従業員の安否確認手段の整備(68.3%)」「情報システムのバックアップ(59.9%)」「緊急時の指揮・命令系統の構築(41.4%)」「災害保険への加入(40.3%)」が上位に挙げられている。
まとめ
多くの企業がBCPの策定に前向きな姿勢をみせているものの、依然として4割超の企業が未策定という現状が明らかになった。策定していない理由にはスキル・人手・時間が不足しているとの声が多く寄せられている。
BCP策定は、緊急時においても事業を継続し、損害を最小限に抑えるために重要な取り組みである。様々なリスクが想定される中「備え」の重要性を改めて認識する必要がありそうだ。
中小企業庁は、中小企業へのBCPの普及を目的とした「中小企業BCP策定運用指針」を作成し、公開している。未策定の中小企業においては、こちらも併せて参考にしていただきたい。
参考:中小企業BCP策定運用指針(中小企業庁)











