春闘や賃上げがきっかけで8割が自身のキャリアや賃金を再考 Indeed調査
Indeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:淺野健)は「春闘や賃上げの動きによる意識・行動調査」を実施した。2025年の春闘では、平均賃上げ率が5.37%となり、大手企業を中心に初任給の引き上げや月額賃金のベースアップなども相次いだ一方で、2024年の実質賃金は3年連続で前年を下回っている。物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない現状や、物価高そのものへの懸念も見られる中で、日本の労働市場に大きな影響がある春闘の結果は、労働者が自身の待遇やキャリアを見直すきっかけともなり得るとして、春闘の結果や賃上げの動きを受けて、自身のキャリアにおける意識・行動がどう変化したのかを調査するとともに、春闘の結果が内部労働市場・外部労働市場にどのような影響を与えうるかを明らかにした。
調査概要
「春闘や賃上げの動きによる意識・行動調査」
調査主体: Indeed
調査対象:現在就業中の20歳~59歳の正社員男女1000名(2025年3、4月に勤め先で賃金の改定があり、かつ従業員規模が2名以上の企業に勤める正社員)
割付方法:2025年春闘結果と賃上げの動きについての認知度3区分(両方を認知・賃上げの動きのみを認知・いずれも非認知)×年代(20代・30代・40代・50代)4区分の計12セル
補正:正社員の性年代人口構成比(10歳刻み)にあわせて事前調査サンプルを補正。その後、補正後の事前調査サンプルにおける、本調査割り付けセルの構成比にあわせて、本調査サンプルの割り付けセル構成比を補正
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年5月15日~2025年5月19日
出典元:正社員を対象に「春闘や賃上げの動きによる意識・行動調査」を実施(Indeed Japan株式会社)
※構成比(%)差分(pt)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、少数第1位までの計算とは数値が異なる場合がある
賃上げや春闘の認知度とキャリアへの影響
本調査では「2025年3月〜5月にかけての春闘の結果も賃上げの動きも、ある程度知っている」人は43.2%で「春闘の結果は知らないが、賃上げの動きはある程度知っている」人は32.9%となった。合わせて76.1%が、昨今の賃上げの動きを認知していることがわかる。
また本調査では、2025年春闘結果や賃上げの動きを認知している人(761名)を対象に、これらの動きを受けて、賃金・キャリア・働き方に関する意識・行動に変化があったか質問している。まず、自身の賃金・キャリア・働き方等について、何かしら考えたことがある人は79.8%と約8割にのぼったという。
考えた内容としては「自分の賃金(69.0%)」「勤め先における今後のキャリアパス(社内での昇進や昇格の道筋)(54.3%)」「転職(47.3%)」が多いようだ。また、38.3%は「勤め先におけるキャリアパス」と「転職」の両方を考えたと回答したことも明らかになった。
さらに、2025年春闘結果や賃上げの動きを受けて、自身の賃金・キャリア・働き方について行動を起こしたか尋ねる項目では、40.4%が何かしらの行動を起こしたことが判明している。具体的には「自身の給与明細(基本給・手当など)を確認する(26.3%)」「勤め先の給与テーブル(賃金表)を調べる(19.2%)」「自社の人事制度・評価制度を確認する(17.6%)」などが多く挙げられたという。
2025年春闘結果に対する印象は?
最後に本調査では、2025年春闘結果に対する、世の中の正社員全体の印象や、春闘の結果が与える影響について明らかにしている。
「(春闘の結果/水準よりも)もっと企業は賃金をあげるべきだ」と思う人は73.5%(「そう思う(28.2%)」「どちらかといえばそう思う(45.3%)」)で「(春闘の結果は)インフレや物価高に比べて十分ではない」と思う人は、73.1%(「そう思う(34.2%)」「どちらかといえばそう思う(38.9%)」)と、どちらも7割を超えたという。
一方で「(春闘の結果は)日本社会にとって良い傾向だ」と思う人は66.0%(「そう思う(15.1%)」「どちらかといえばそう思う(50.9%)」)で「(春闘の結果は)妥当な結果だと思う」人は55.2%(「そう思う(8.5%)」「どちらかといえばそう思う(46.7%)」)と、半数以上にのぼっている。
なお、春闘の結果や賃上げの動きをふまえた今年の夏のボーナスへの期待は「昨年よりも増えると思う(27.9%)」と限定的で、トランプ関税による夏のボーナスへの影響を懸念する人が61.4%にものぼることが明らかになった。
まとめ
本調査では、賃上げの動き自体や賃上げ率の上昇傾向は歓迎しつつも、まだ実際の生活と照らしてみて不十分であると感じている人が多い様子がみられた。また、こうした動きの中で、転職活動を進めた人や、自社以外でのキャリア機会に向けて行動を始めた人も一定数いることが明らかになっている。
春闘や賃上げでは企業規模などによる格差が課題視されがちだが、働く人の意識や行動に与える波及効果の大きさについても認識しておく必要がありそうだ。














