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2025年上半期の人手不足倒産が2年連続で過去最多を更新 TDB調査

2025.07.07

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、従業員の離職や採用難等による人手不足を要因とする「人手不足倒産」の発生状況について調査・分析を実施。2025年上半期(1-6月)の人手不足倒産は202件発生し、上半期としては2年連続で過去最多を更新したことを報告した。

調査概要

集計期間:2013年1月1日~2025年6月30日
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
出典元:人手不足倒産の動向調査(2025年上半期)(株式会社帝国データバンク)

上半期の人手不足倒産は過去最多の202件、サービス業の増加顕著

上半期の人手不足倒産は過去最多の202件、サービス業の増加顕著

TDBの報告によると、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、2025年上半期(1-6月)に202件発生。前年上半期(182件)から20件増加し、2年連続で過去最多を更新したことが明らかになった。

TDBは業種別の分析結果についても報告。最も多かったのは「建設業:54件(前年同期比+1件)」で、次いで「物流業:28件(同+1件)」が続いたという。2024年4月から時間外労働の新たな上限規制が適用された影響もあり「2024年問題」が懸念されていた建設業と物流業で全体の40.6%を占めている。さらに「老人福祉事業:12件(同+10件)」「労働者派遣業:11件(同+10件)」「受託開発ソフトウェア:7件(同+5件)」といった労働集約型のサービス業を中心に増加が顕著となっていることも明らかになった。

人手不足解消に向けた施策の状況と今後の推移

人手不足解消に向けた施策の状況と今後の推移

続いてTDBは、人手不足の解消に向けての施策について調査している。TDBは従業員数や労働時間といった「労働投入量の増加」や、効率的なアウトプットによる「生産性の向上」のいずれかが必要となると考察。しかしTDBが実施した『2025年度の設備投資に関する企業の意識調査』では、設備投資を予定している内容において「DXの推進」や「情報化関連(IT化、AI活用など)」といったデジタル投資の面が、大企業に比べて中小企業は10ポイント以上低く、大きな開きが生じている実態が明らかになったという。

TDBは中小企業がデジタル投資に消極的という状況を踏まえ「労働投入量の増加」に向けた人材の確保・定着が一層重要となると指摘する。しかし、よりよい条件を求める傾向が強まるなかで転職市場が活発化していることから、中小企業は人材の確保で苦戦すると予想。既に人手不足が深刻な建設業や物流業に加えて、サービス業のような労働集約型の業種では人材獲得競争がさらに激化し、人手不足倒産が高水準で推移するとみているようだ。

参考:2025年度の設備投資に関する企業の意識調査(株式会社帝国データバンク)

まとめ

人手不足倒産が過去最多を更新し、その深刻さはより増していると考えられる。特に中小企業においてはDXの動きも大企業との差が開いており、ますます厳しい状況に陥る可能性も高いと言えるだろう。

そうした中でTDBは、中小企業では「選ばれる企業」になるための取り組みが重要だと指摘する。他社との差別化や、それによる自社の魅力を効果的に発信できるかどうかが、人手不足倒産を防ぐポイントとなりそうだ。