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企業の98.5%が「早期希望・退職」を3年間未実施でこの先1年以内の実施も検討せず TSR調査

2025.07.10

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は6月2日~9日、インターネットで「早期・希望退職」「役職定年」についてアンケート調査を実施。早期・希望退職募集を直近3年以内に実施は、大企業が2.8%に対し中小企業は0.7%と4倍の開きがあったことを報告している。

調査概要

調査期間:2025年6月2日~9日
調査方法:企業を対象にインターネットによるアンケート調査
有効回答:6483社
出典元:中小企業、中高年の活用に活路 「早期・希望退職」は大企業の2.8%が実施(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義

98.5%が「早期希望・退職」3年間未実施でこの先1年以内の実施も検討せず

98.5%が「早期希望・退職」3年間未実施でこの先1年以内の実施も検討せず

TSRの報告によると「早期希望・退職」をこの3年間実施せず、この先1年以内の実施も検討していない企業は98.5%にも及ぶという。人手不足が深刻化するなか、上場企業では「早期・希望退職」募集が増えている一方で、中小企業では社員活用の方法を探っている状況にあるようだ。

またTSRは、就職氷河期やバブル世代を含む45歳以上の従業員(正社員)が半数を占める企業は、全企業で6割超(64.2%)に及ぶことを報告。こうした逆三角形の人事構造への対応として、大企業では役職定年の導入が41.0%と4割を超えるという。一方で中小企業では17.8%と2割未満にとどまっている。なお、45歳以上の従業員(正社員)が半数以上を占める割合としては、大企業の57.0%に対し、中小企業は64.6%と高い割合を示した。

産業別にみると「運輸業:81.7%」「金融・保険業:75.0%」「不動産業:71.3%」で45歳以上の従業員(正社員)が半数以上を占める割合が特に高いという。

まとめ

本調査では一定の年齢に達した正社員が役職から外れる「役職定年」の導入について、大企業が41.0%、中小企業17.8%と2倍以上の開きがみられている。TSRは構造改革を推し進める大企業と、人的リソースの制約から中高年社員の活躍を求める中小企業とで、対応が分かれているとみている。

採用競争の激化も進み、人材の確保に厳しさを感じる中小企業は少なくないだろう。人手不足による倒産も、中小企業を中心に増加傾向だ。制度面、資金面の両輪で雇用を維持できるかどうかが、中小企業の事業継続に大きく関わってくるとみられる。

参考:1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増(株式会社東京商工リサーチ)