2035年には就業者の6人に1人が“ケア就業者”に? パーソル総研調査
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田亮)は、働きながら育児や介護といったケアを行っている人の実態を探る「ケア就業者に関する研究」の結果を発表した。
調査概要
調査対象:共通条件/全国の就業者(休業中の就業者は除く)、20〜69歳男女
①育児就業者1295名/②介護就業者1358名/③ダブルケア就業者:484名/④非ケア就業者:1696名
※2022年の総務省「就業構造基本調査」の性年代構成比を参考に割付(ただし、③の割付は自然発生で回収)
調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期:2024年12月6日〜10日
出典元:「ケア就業者に関する研究」を発表2035年、就業者の6人に1人が“ケア就業者”に 育児・介護・ダブルケア就業者が1,285万人と推計(株式会社パーソル総合研究所)
ケア就業者の推計 ダブルケア就業者数は2022年比30%超の増加
本調査の結果をみると、2035年の育児就業者数は、2022年比で4.6%(37万人)増の844万人になる見込みであることがわかる。また、2035年の介護就業者数は、2022年比で20.4%(71万人)増の420万人になる見込みであることが報告された。
さらに本調査では、2035年のダブルケア就業者数(育児・介護)は、2022年比で33.8%(5.4万人)増の21.2万人になる見込みであることも明らかになった。
ケア就業者の職場の実態と課題 業務をフォローする就業者の残業時間は約1.7倍
続いて本調査では、ケア就業者が働く職場の実態について質問。その結果、柔軟な働き方に関する制度は整備が進んでいるものの、企業整備率に対する個人の利用率は平均で20.8%にとどまっていることが明らかになったという。制度と実際の活用との間にミスマッチが生まれているようだ。
なお、ケア就業者が周りの従業員に自分の仕事を任せることがある割合は4割弱だという。また、柔軟な働き方に関する制度を利用しているケア就業者の方が「周囲からの業務フォロー率」が高い傾向にあることもわかっている。
そうした状況において、ケア就業者の業務をフォローする非ケア就業者は、業務フォローのない非ケア就業者と比べて、残業時間が5.6時間長い(約1.7倍)ことも判明した。
非ケア就業者の不満と解決策 約7割が支援不足を実感
ケア就業者の業務をフォローする非ケア就業者は、4割以上が不満を感じているという。そこで本調査では、非ケア就業者の不満と解決策についても探っている。
本調査結果によると、上司による調整型のマネジメントは、非ケア就業者側の、ケア就業者に対する不満や特別扱い感を抑える傾向にある一方で、上司からの激励・励ましは、逆にこれらの意識を高める傾向があるという。
一方で、ケア就業者の業務をフォローする非ケア就業者の約7割が企業からの支援不足を感じており、そのような層ほどケア就業者に対して特別扱い感を強く抱いている傾向があることも明らかになっている。
柔軟な働き方制度については、一部の就業者だけが利用できる条件付き整備よりも、全従業員が利用可能な全面整備の方が、非ケア就業者の“特別扱い感”が低い傾向がみられている。
まとめ
働きながら育児や介護といったケアを行うケア就業者が、今後増加していく見込みであることが判明。2035年に育児・介護の両方でケアを行うダブルケア就業者数については、2022年と比較して30%以上増加する可能性があるという。
そうした中で、ケア就業者が働く職場では、そのフォローにあたる就業者からの不満の声が聞かれている。特に企業からの支援不足を感じる人は約7割と、非常に高い割合であった。こうした不満をそのままにすれば、職場内の雰囲気が悪くなるだけでなく、誰にとっても働きづらい職場となってしまう可能性が高い。
改めて制度制定の必要性や、制度利用者以外の声を聞くことの重要性が示唆されたと言えるのではないだろうか。本調査結果も参考に、自社の実態を見直す機会としていただきたい。














