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2025年上半期企業倒産「破産」が9割超 背景に「手形減少」と「準則型私的整理」 TSR調査

2025.07.24

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年上半期(1-6月)の倒産について、形態別に分析を実施。破産の構成比が90.3%に達したことを報告した。

倒産比率の推移「破産」が30年前から約10倍の割合に

倒産比率の推移「破産」が30年前から約10倍の割合に

TSRの報告によると、2025年上半期(1-6月)の倒産で、破産の構成比が90.3%に達したことがわかった。TSRは過去を振り返り、2004年上半期までは取引停止処分の構成比が破産を上回っていたと解説。30年前の1996年は上半期の倒産7270件のうち、取引停止処分が6277件と86.3%を占めており、破産は692件と9.5%だった。

以降、少額破産の手続きコスト低減への取り組みが広がったことや、手形に拠らない商取引慣行の浸透などが影響し、破産の構成比が取引停止処分を抜いたのは2005年上半期。その後も破産の構成比は上昇し、2015年上半期に8割、2023年上半期には9割を超えている。一方、2000年に施行された民事再生法はリーマン・ショック後の2009年上半期に構成比が5.6%に上昇したが、その後は利用が減少。2025年上半期は2.2%にとどまっている。

紙の手形は2026年度に廃止される予定となっており、取引停止処分による倒産は今後も小康状態が続くことが予想されている。また近年、急速に整備されているのが、中小企業活性化協議会が関与する債務整理スキームや事業再生ガイドラインの運用開始など低収益や過剰債務に苦しむ企業を準則型私的整理などで支援する仕組み。TSRはこうした状況において法的手続きを検討する場合は、すでに事業性を失っているため破産以外の選択肢がなくなっているケースが多いと指摘。このような背景により、破産の構成比が増加傾向にあるのだ。

出典元:企業倒産、破産の割合が9割超で過去最大 ~ 背景に「手形減少」と「準則型私的整理」 ~(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

TSRは2025年上半期(1-6月)の全国企業倒産に関するレポートも発表しており、倒産件数が4990件と4年連続で前年同期を上回る件数となったことを報告している。そのうちの9割を占めた「破産」。TSRは「破産」の割合が増加している背景に、手形の減少や準則型私的整理の整備があるとみている。

物価高や金利の引き上げ、賃上げや人材不足など企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、TSRは秋口以降は緩やかな増勢を予測している。形態別の推移についても引き続き注目したい。

2025年上半期(1-6月)の全国企業倒産4,990件(株式会社東京商工リサーチ)