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働く女性の「結婚による名字変更」の不便・不都合・不利益の実態とは? 博報堂調査

2025.07.25

株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:名倉健司)は、社内プロジェクト「博報堂キャリジョ研プラス」を通じた生活者発想に基づく視点で、就業中の女性の意識に関する調査・研究を進めている。今回は、就業中の20-50代既婚女性に向けて「結婚による名字の変更に関する意識・困りごと調査」を実施した。

調査概要

調査名:結婚にともなう名字の変更に関する意識・困りごと調査
実施期間:2025年4月30日~5月1日
調査手法:インターネット調査(マクロミルパネル)
調査地域:全国
調査対象:日本全国の20〜59歳の既婚女性,年収:200万円以上,学生・専業主婦は除外
回答数:本調査1000名
ウェイトバック:各年代の既婚女性母集団構成を基にウェイトバックを実施
クロス集計:「人生・生活における、あなたにとっての仕事の重要度を教えてください」という設問に対し、「仕事の重要度はかなり高い」「仕事の重要度はそれなりに高い」「仕事の重要度はそこまで高くない」「仕事の重要度は高くない」の4段階で回答した結果を基に分析
調査主体:博報堂キャリジョ研プラス
調査委託先:QO 株式会社
出典元:「結婚による名字の変更に関する意識・困りごと調査」仕事の重要度が高い既婚女性の6割が、名字の変更に関して不便を実感 就業中の女性の不便・不利益につながる「実績ロス」「時間ロス」が明らかに(博報堂キャリジョ研プラス)

仕事を重要視する人ほど不便さを実感

仕事を重要視する人ほど不便さを実感

本調査ではまずはじめに、就業中の20-50代既婚女性に対して名字の変更の経験について質問。その結果、93.6%が「自身が名字を変更した」と回答したという。

さらに、就業中の婚姻に伴い名字を変更した20-50代既婚女性のうち「婚姻に伴い、戸籍上の姓(名字)の変更をすることで、何かしら不便さ、不都合、不利益が生じましたか」との質問に「非常に不便を感じた(17.1%)」「やや不便を感じた(37.3%)」と、計54.4%が不便を感じたことが明らかになった。

また、人生・生活における仕事の重要度に関して「仕事の重要度はかなり高い/それなりに高い」と回答している人では、いずれも6割が非常に不便/やや不便と回答しており、仕事の重要度が下がるにつれて「不便を感じない」という回答が増える傾向がみられたという。

なお、婚姻時に選択的夫婦別姓が認められていた場合に「相手の名字に合わせて夫婦同姓にしたい」と回答した人は60.5%であった。「夫婦別姓にしたい」は30.2%で「仕事の重要度はかなり高い」と回答した人においては、「夫婦別姓にしたい」が41.6%と高い割合を示している。

実際に不便を感じたことは?

実際に不便を感じたことは?

婚姻に伴い名字を変更し、かつ「非常に不便/やや不便」と回答した人が、実際に不便に感じたこととしては「運転免許証やパスポートなどの名義変更手続きが必要で、時間と労力がかかる(96.7%)」が最も多いようだ。次いで「会員サービスなどで旧姓でデータが登録されたままになり、名義変更が必要/混乱が生じることがある(94.3%)」「以前の名字で発行された資格証明書が無効になるわけではないが、本人確認に時間と労力がかかる(91.0%)」が続いている。

さらに、婚姻に伴い名字を変更し「非常に不便/やや不便」と回答し、人生・生活における仕事の重要度に関して「仕事の重要度はかなり高い」と回答した人については、全ての項目で回答が高くなったことが判明。

中でも「旧姓の職歴が現在の戸籍名と異なるため、過去の経歴が正しく伝わらないことがある」については、20ポイント以上の差がみられたという。そのほか「自分自身が育った家庭を表す旧姓を利用しなくなることで、自分らしさやルーツが失われると感じる」「契約書や役員手続きが戸籍姓となるため、職場で毎回説明や修正の手間がかかる」「旧姓で行った過去の活動に対して同一人物とみなされず、築いてきたキャリアへの喪失感を感じる」「結婚前に築いた職場や業界に名字変更の周知が必要になり、手間がかかる」で10ポイント以上の差分がみられている。

まとめ

本調査では選択的夫婦別姓の制度に対して賛成/反対の立場はとらず、結婚により名字が変わることによって実際に困りごとやキャリアへの阻害要因があるのか、あるとしたら具体的にどのようなものがあるのかを客観的に分析している。

そうした中で、仕事を重要視する人ほど不便さを感じているという実態が明らかになり、女性のキャリアへの影響がうかがい知れる調査結果になったと言えるだろう。女性の活躍を促進する上で、結婚による名字の変更への対応についても議論を重ねていく必要が改めて示唆されたのではないだろうか。