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経営層と人事担当者の認識に大きな差異、人事データの整備状況 jinjer調査

2025.07.28

クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しているjinjer株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長CEO:冨永健)は、企業の経営層・部長クラス以上の計589名を対象に「人事データの整備と活用に関する実態」について調査を実施した。同社は、企業において限られた人的リソースを有効活用し、生産性を高め、持続的な成長を図る必要があり、その上で人事データの整備と戦略的活用がキーになるとして、本調査を実施。人事データの整備状況について、実態を明らかにした。

調査概要

調査概要:人事データの整備と活用に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年6月3日~同年6月10日
調査対象:企業の経営層・部長クラス以上、企業の人事・総務担当者 589名
出典元:jinjer株式会社

「整備できている」の認識に経営層と人事担当者の認識に差

「整備できている」の認識に経営層と人事担当者の認識に差

本調査では「人事データ(従業員情報、給与、勤怠、評価など)が、どの程度整備されていると感じているか」を経営者と人事担当者に質問。その結果、経営者と人事担当者の認識の差異が顕著にみられた。

「非常に整備されている」という回答の割合は、経営者が32.8%であったのに対し、人事担当者は8.3%と約4倍の開きがあった。一方で「あまり整備されていない」または「ほとんど整備されていない」という回答は、人事担当者は合わせて45.9%にも及んだのに対し、経営者は20%にとどまった。

さらに、人事データが整備されていることの利点について人事担当者が最も実感している利点は「労務ミスの削減と業務効率化(41.7%)」「公平で納得感ある評価と処遇(23.2%)」「リアルタイムな人事分析と意思決定(21.9%)」が多く挙げられた。一方で、経営層が最も実感している利点は「経営判断に必要な情報のリアルタイム把握(27.6%)」「人材育成や配置の精度が向上(25.5%)」「勘や印象に頼らない根拠ある判断(20.1%)」という結果となった。

人事データ未整備で起こりうる課題感にも差異

人事データ未整備で起こりうる課題感にも差異

続いて本調査では、人事データが整備されていないことで生じる課題について質問。こちらも、経営層と人事担当者とでは、大きな差異がみられた。

経営層が懸念する課題は「後継者やリーダー候補の育成ができていない(31.7%)」「情報連携のスピードが遅く、意思決定が遅れる(26.7%)」「評価や給与の納得度が低く、従業員に不満が蓄積している(25.0%)」「各部門の課題が可視化されず、的確な打ち手が打てない(25.0%)」といった点。一方、人事担当者は「情報が複数のシステムやファイルに分散している(20.7%)」「必要なデータがどこにあるのか分かりづらい(15.9%)」「データの入力・更新が現場任せで統一されていない(15.2%)」という回答が上位を占めた。

人事データを必要とする場面

人事データを必要とする場面

続いて本調査では、人事担当者がどのような目的や場面で人事データが必要になると感じているかを質問。その結果、「労務リスクや組織課題を分析・対策するとき(45.5%)」「後継者育成や管理職登用に向けて、タレントマネジメントを実施するとき(43.8%)」「等級別・職種別の給与や評価の分布を可視化し、制度の見直しを行うとき(41.1%)」という回答が際立った。

経営層が「必要とすることが多い人事データ」として重視しているのは「管理職・次世代リーダー候補の評価・スキル・育成状況(55.5%)」「労働時間や残業時間、有休取得率など勤怠に関する情報(44.5%)」「部門別・年代別・職種別の社員数や構成比(40.1%)」が上位に。

人事データの整備・活用に向けた取り組み

人事データの整備・活用に向けた取り組み

次に本調査では、人事データの整備・活用に向けた現在の取り組みについて質問。最も取り組みが進んでいると認識されている項目は、経営層では「データ入力・更新の自動化(RPA、連携ツールなど)を導入している(43.5%)」「人事システムの刷新・統合を行っている(37.1%)」が挙げられている。一方、人事担当者は「データ入力・更新の自動化(RPA、連携ツールなど)を導入している(19.7%)」がトップに。全体的に見て、すべての項目において経営層の方が人事担当者よりも「取り組んでいる」と回答する割合が高い傾向がみられている。

加えて今後、人事データの活用により実現したいことについて、経営層では「公平で納得感ある評価と処遇(53.8%)」「労務ミスの削減と業務効率化(48.2%)」「リアルタイムな人事分析と意思決定(43.8%)」との回答が上位に並んだ。一方、人事担当者は「労務ミスの削減と業務効率化(35.2%)」「リアルタイムな人事分析と意思決定(22.4%)」「人的資本開示への対応精度向上(21.7%)」との回答が多くみられた。

まとめ

人事データの整備状況や課題への認識について、経営層と人事担当者とでは大きな差異が生じている実態が明らかになった。施策としては導入できていても、担当者の業務が追いついていないとい現状があることが推察される。

担当者レベルでの現状把握や課題の洗い出しができていても、社内で経営層と人事担当者との現状や課題感の認識が乖離している可能性が高い、といえるだろう。本調査の結果を参考にしながら、現実的な解決策を見出したい。