掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

「改正下請法」の認知度は過半超え 発注者と受注者の期待とは? TDB調査

2025.07.28

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2026年1月1日「下請代金支払遅延防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(以下:改正下請法)」が施行されることを受けて、本法の認知度や影響に関するアンケート調査を実施した。なお、今回の改正は、物価や労務費の上昇を受けて、企業の資金繰りを改善することや必要なコストの価格転嫁を適正に進められるように法律で後押しするもの。特に、より弱い立場にある中小企業の取引の改善を目指しており、本法が産業界へ与える影響は大きいとみられている。

調査概要

調査期間:2025年6月13日~6月30日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:3,845名
出典元:改正下請法に関する企業の意識調査(2025年6月)(株式会社帝国データバンク)
<規模の定義>
中小企業:中小企業基本法の定義(資本金と従業員数)に基づく
中堅企業:中小企業基本法における中小企業に該当せず、かつ従業員数が2,000人以下
大企業:従業員2,000人超

認知度57.4%、認知度NO.1は「約束手形での支払いの禁止」

認知度57.4%、認知度NO.1は「約束手形での支払いの禁止」

本調査ではまずはじめに、2026年1月に改正下請法が施行されることを知っているか質問。その結果「改正されることを知っている(57.4%)」との回答が過半数を超えたという。一方で「改正されることを知らない(35.9%)」「現在の下請法の内容も知らない(6.8%)」との声もみられている。

続いてTDBは「改正されることを知っている」と回答した割合を業種別に分析。その結果、今回の改正で対象取引に追加される「運輸業(71.2%)」が最も高い認知度を示している。規模別では「大企業(81.6%)」「中堅企業(85.6%)」で8割を超える結果となった一方で「中小企業(54.3%)」は約半数にとどまったことも明らかになった。

また「改正されることを知っている」とした回答者に主な改正内容の認識について質問。最も認知されていたのが「約束手形での支払いの禁止(87.0%)」「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(85.4%)」で8割を超えている。

受注者と発注者の期待

受注者と発注者の期待

次に本調査では「改正されることを知っている」とした回答者に法改正の影響について質問。その結果、発注者はマイナスの影響がプラスの影響を4.6ポイント上回った。一方で、受注者はプラスの影響が44.5%と過半には及ばなかったものの、マイナスの影響6.6%を大きく上回ったことが判明した。

受注者がプラスの影響を最も期待しているのは「資金繰りの安定(29.8%)」「収益の安定化(21.9%)」と、財務内容の改善につながる上位2項目の合計は51.7%となった。

また、発注者は「長期的なパートナーシップ(51.5%)」「コンプライアンス体制の強化によるリスク低減(29.0%)」「ブランド価値の向上(11.5%)」などの面で、プラスの影響を期待しているようだ。

逆にマイナスの影響への懸念としては、受注者では「書類作成・監査対応など実務負担の増加(23.3%)」が、発注者では「利益の圧迫(23.3%)」がトップに挙げられている。

まとめ

改正下請法への認知度は、企業規模で大きな差がみられている。本改正は弱い立場にある中小企業の取引改善を目指しているが、その対象となる中小企業の認知を進めることも、有用性の向上には不可欠である。

本改正に期待が寄せられる一方で、業務負担の増加を懸念する声も少なくない。今後発表が予定されている、運用に必要な基準の詳細やパブリック・コメントを随時確認して対応への準備を進めたい。

参考:(令和7年5月16日)「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の成立について(公正取引委員会)