上場ビジネス・シティホテルの「客室単価・稼働率」好調が続く TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、上場ビジネス・シティホテルの「客室単価・稼働率」について調査を実施。インバウンド(訪日旅行客)需要に支えられ、ホテル業界で好調が続いていることを報告した。2025年4月に次いで6回目の調査となる。
調査概要
調査方法:国内の上場ホテル運営会社13社の客室単価と稼働率を集計、稼働率・客室単価は開示資料をもとに集計(※12月決算の企業は、2025年1-3月期(1Q)の公表値を集計)
集計対象の企業・ブランド:藤田観光(株)(ワシントンホテル)、東日本旅客鉄道(株)(ホテルメッツ、メトロポリタンホテルズ)、相鉄ホールディングス(株)(相鉄フレッサ・サンルート)、東急不動産ホールディングス(株)(東急ステイ)、(株)共立メンテナンス(ドーミーイン)、(株)グリーンズ(コンフォートホテル、ホテルエコノなど)、西日本鉄道(株)(西鉄ホテル)、ポラリス・ホールディングス(株)(ベストウェスタン)、大和ハウス工業(株)(ダイワロイネットホテル)、(株)西武ホールディングス(プリンスホテル)、阪急阪神ホールディングス(株)(阪急阪神ホテルズ)、三井不動産(株)(三井ガーデンホテル)、九州旅客鉄道(株)(THE BLOSSOMなど)
出典元:ホテル業界 止まらない客室単価の値上げ インバウンド需要で高稼働・高単価が続く(株式会社東京商工リサーチ)
前年同期比の客室単価2ケタ増が8割 コロナ禍の2倍となるビジネスホテルも8ブランド
本調査では、まず前年同期の客室単価を比較。その結果、2期比較が可能な13社(15ブランド)は、すべて客室単価が前年同期より上昇していることがわかった。上昇率は、10%以上15%未満が最多の9ブランド。次いで、10%未満が3ブランド、15%以上20%未満が2ブランドで続くという。最も上昇したのは、東急不動産HDが運営する「東急ステイ」で20.4%の上昇だった。
続いて、コロナ禍の2021年3月期から2025年同期までの稼働率、客室単価を比較。ジネスホテルでコロナ禍前と比較可能な8ブランドの稼働率は、2021年3月期が45.8%。客室単価も2021年3月期の6,180円が最安値だった。
2023年5月の新型コロナ5類移行後は、ホテル需要が徐々に回復。2024年の平均客室単価は1万円台に乗せ、平均稼働率も8割を超えたという。さらに2025年同期には1万3930円となり、コロナ禍の2021年同期を7, 750円上回ったことが明らかになった。平均稼働率はほぼ横ばいで推移しており、2024年同期から0.1ポイント下がった81.0%となっている。
まとめ
好調が続くホテル業界の背景には国内旅行やビジネスの宿泊需要に加え、訪日外国人観光客が急増したことがある。一方でTSRは、需要の急増に追いついていない供給や、深刻化する人手不足がホテル経営の課題になっている点を指摘。ホテル業界の動向がインバウンドや国内旅行の浮沈にもつながりかねない、との見解を示している。今後の動向に注目したい。














