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学生の「やりたいこと志向」や「成長意欲」が大幅に低下 パーソル総研調査

2025.07.30

株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩田亮)は「新卒就活の変化に関する定量調査」の結果を発表した。本調査は、変化の渦中にある新卒就活の実態について、過去調査との比較を通じて定量的に明らかにし、企業と学生の間に広がる意識や構造のギャップを可視化することを目的に実施された。

調査概要

調査内容:新卒就活の実態を明らかにする。特に先行調査との比較に基づき、近年の新卒就活の変化を把握する。
調査方法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査対象:
<調査①>新卒就活の変化に関する定量調査(居住地域:全国、18~30歳未満)
【学生】
四年制大学生および大学院生(博士課程は除外)
希望している卒業後の進路として、会社員(正社員)が含まれていない者は除外
【社会人】
正社員/就活後、初職の企業1-3年目の正社員 企業規模:不問
離職者/就活後、正社員で入社したがその後3年以内に離職した人
<調査②>新卒担当者向け調査(居住地域:全国)
新卒採用をしている企業に在籍しており、企業規模や業種は不問 新卒採用担当者 300s
調査時期:2025年2月22日 – 3月3日(調査①)、同年2月22日-2月25日(調査②)
実施主体:株式会社パーソル総合研究所
出典元:新卒就活の変化に関する定量調査(株式会社パーソル総合研究所)
※構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合がある

約4割の企業が「必要な人材を質・量ともに確保できていない」

約4割の企業が「必要な人材を質・量ともに確保できていない」

本調査結果からは、就活のスタートが早期化している実態がうかがえる。2019年は大学3年生冬になると一斉に就活生が動き出していたのに対し、2025年は大学2年生冬までに既に2割が就活を開始しているという。

また本調査では、2025年卒は2019年卒よりも内定獲得数が増加傾向にあることも明らかになっている。2社以上から内定を得た割合は約6割、5社以上の内定者も約8人に1人に。難関大学の学生ほど内定数が多い傾向が見られた。

一方で 企業の採用担当者に近年(直近5年間)の変化を尋ねたところ、 47.4%の企業で採用にかかる工数と負荷が増加したという。採用状況を見ると、内定辞退者の数が38.0%の企業で増加している。

さらに、約4割の企業が「必要な人材を質・量ともに確保できていない」と回答したことも判明。特に500人未満の企業では5割を超えたという。全体的に「質」に課題を感じている企業が多いことが明らかになった。

学生の価値観とキャリア観の変化 インターンシップ経験は拡大傾向に

学生の価値観とキャリア観の変化 インターンシップ経験は拡大傾向に

本調査では、学生が就活で重視していることとして、2025年も「仕事とプライベートが両立できること」が最重視される一方「やりたい仕事ができること」は大きく低下したことがわかった。「勤務時間、勤務場所など、働き方が柔軟に選択できること」が重視される傾向が強まっているようだ。

また、学生側の意識として「仕事を通じて成長したい」が最も低下したことも判明。一方、企業側が感じる採用人材の変化として「リモートワークのスキル・知識」「デジタルスキル・知識」「真面目さ」などが、5年前と比較して顕著に上がったという。逆に「起業家精神」「積極的な態度」「リーダーシップ経験の多さ」などは減少が目立つ結果となっている。

続いて本調査では、学生のインターンシップ経験について質問。その結果、経験率は2019年の61.2%から2025年には68.3%に増加。経験社数も2.8社から3.0社と、拡大傾向にあることがわかった。なお、インターンシップの経験内容で入社意欲に強く影響したのは「職場・会社・仕事のリアリティ」だったことも報告されている。

まとめ

就職活動の早期化が進む中、企業では採用にかかる工数と負荷が増加。一方で、必要な人材の確保には至っていない企業が多くみられている。内定辞退者も増加傾向にあり、内定から入社までの取り組みも重要度が増しているようだ。

学生の価値観やキャリア感が変化している点も見逃せない。同社はこうした実態を受けて、企業の新卒採用活動も再設計を迫られていると指摘。特に「情報発信」「採用プロセス」「育成」の変化が必要だと解説した。参考にしていただきたい。