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深刻な人手不足「警備業」の倒産、2025年上半期で過去最多ペース TDB調査

2025.08.04

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は「警備業」の倒産発生状況について調査・分析を実施。慢性化する人手不足を背景に、倒産が過去最多ペースとなっていることや、賃上げの動きが小規模事業者に追い打ちをかけていることをまとめた。

調査概要

集計期間:2000年1月1日~2025年6月30日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
出典元:
「警備業」の倒産動向(2025年上半期)(株式会社帝国データバンク)

2025年上半期の「警備業」倒産がすでに前年の年間件数を超える16件

2025年上半期の「警備業」倒産がすでに前年の年間件数を超える16件

TDBの報告によると「警備業」の2025年上半期(1-6月)の倒産件数は16件と前年(8件)から倍増し、上半期として過去最多となっている。上半期時点ですでに前年の年間件数(15件)を上回り、過去最多を更新するペースで推移している。 

背景にあるのは、慢性的な人手不足と分析。TDBは2025年上半期に倒産した16件のうち、少なくとも5件が人手不足を要因としていることを指摘。さらにTDBのアンケート調査では警備業のうち人手不足を感じている企業の割合が、2025年に入ってから正社員・非正社員それぞれ約9割に達するなど、深刻な水準にあることも浮き彫りになった。

警備業において人手不足が深刻化している要因のひとつに、賃金と労働環境の問題がある。TDBは賃金構造基本統計調査(令和6年、職種別)を参照し「警備員」の現金給与額は26万8300円と、全体の33万400円を大きく下回っている。厳しい給与水準が浮き彫りとなっており、今後は人材獲得競争がさらに激化すると予測される。低単価の受注によって利益の確保が難しい小規模事業者では、高騰する賃金水準に対応することができず事業継続を断念するケースが増加する可能性もあるという。

参考:賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

まとめ

TDBは倒産が倍増する警備業に対して、業界全体で「働きやすさ」向上への取り組みが不可欠だと分析している。「働き手に配慮した勤務体系の構築や、AIの活用によって危険がともなう作業を代替・補完するなど、労働者が安心して働ける環境を整備する対策が急務といえよう」と提言した。

人手不足の深刻化から人材獲得の激化も予想されており、賃上げの動きに追いつけない小規模事業者を中心に倒産が続くことも懸念されている。労働環境の改善や適正な価格転嫁に取り組んでいくことが、事業の継続を大きく左右するのではないだろうか。引き続き動向に注目したい。