9割近くが「負担増でも最低賃金引き上げは必要」 ベンチャーサポート調査
ベンチャーサポート税理士法人(所在地:東京都渋谷区、代表:中村真一郎)は「法改正に伴うパート・アルバイトの雇用課題」に関する意識調査を実施。賃上げの状況や意向、法改正への対応における課題などを明らかにした。
調査概要
調査方法: PRIZMAリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:PRIZMAリサーチ社登録モニターのうち、パート・アルバイト10名以上を雇用している経営者
有効回答数:1,001名
調査実施期間:2025年4月24日~2025年4月26日
出典元:<法改正に伴うパート・アルバイトの雇用課題に関する調査>を実施(ベンチャーサポート税理士法人)
過半数が「最低賃金未満」から引き上げ実施 人件費増への対策は?
まず「2024年は過去最大の最低賃金の引き上げ幅となりましたが、引き上げに伴いどのような対応を行いましたか?」と質問。「改定後の最低賃金を下回っていたため、賃金を引き上げた(49.1%)」「改定後の最低賃金を上回っていたが、賃金を引き上げた(38.5%)」「改定後の最低賃金を上回っていたため、変更していない(12.4%)」という回答が寄せられている。
続いて「賃金の引き上げによる、人件費の増加分をどのように補っていますか?(複数回答可)」という質問には「業務効率化(システム導入による業務のDX化)(49.0%)」「価格転嫁の実施(44.7%)」「コスト削減(光熱費や在庫等の費用など)(35.2%)」といった回答が集まった。
9割近くが「最低賃金の引き上げ」に肯定的も負担は深刻化
次に「日本経済のためにも、経営者として最低賃金の引き上げは必要だと思いますか?」と質問。その結果「はい(86.8%)」が9割近くに達する、という結果となった。また「『最低賃金の引き上げ』や『103万円の壁の引き上げ』は、優秀な人材の確保に繋がると思いますか?」という問いへの「はい(83.8%)」という回答も8割を超えている。
一方で「「最低賃金の引き上げ」や「103万円の壁の引き上げ」によって、経営は圧迫されていますか?」との質問には、7割超が「はい(73.2%)」と回答。負担感の深刻化も否定できない。
さらに本調査では「103万円の壁の引き上げにより、年間の人件費(給与+社会保険料等)の負担はどの程度変化する見込みですか?」と質問。その結果「大幅に増加する予定(29.4%)」「やや増加する予定(50.7%)」と、8割超が増加を見込んでいることがわかった。
「フルタイム重視」へシフト加速 労働管理の複雑化が課題か
続いて「『最低賃金の引き上げ』と『103万円の壁の引き上げ』を受けて、パート・アルバイトの採用方針にどのような変化がありましたか?(複数回答可)」と質問。上位の回答には「フルタイム勤務できる人を重視するようになった(33.2%)」「時給などの待遇を改善した(30.4%)」「正社員に登用する流れを強めた(23.8%)」「新規採用を控えるようにした(21.8%)」「新規採用人数を増やした(21.5%)」が並ぶ結果に。
また「雇用関係の法改正は、どのような点に対応の難しさを感じますか?(複数回答可)」との質問には「労務管理の複雑化(37.8%)」「従業員の希望労働時間との調節(37.3%)」「社会保険加入手続き(31.3%)」「従業員への説明と合意形成(27.8%)」「改正内容の理解と対応(27.5%)」といった声が寄せられた。
さらに「雇用関係の法改正に対応するためには、どのような手段が最適だと思いますか(複数回答可)」と質問。上位には「専門家(社会保険労務士・税理士など)に相談(39.4%)」「労務管理システムの導入・見直し(39.2%)」「人事・労務担当者の増員(30.3%)」などが挙げられている。
まとめ
賃上げや「103万円の壁」の見直しが、優秀な人材の確保につながると考える経営者は8割を超えており、多くの経営者が負担を感じながらも賃上げに前向きな考えを示していることがわかった。そうした中で、企業が安定した人材の確保にシフトしている傾向も見られた。一方で慎重な姿勢を示す回答も一定数あり、対応への方針の二極化が進みつつあることがうかがえる。
法改正に対応する上で、労務管理の複雑化や社会保険加入手続きなど、担当者の業務負荷の増加を懸念する声も多い。専門家への相談やシステムの導入・見直しなどで対応を検討する企業が多いことが明らかになった。自社での対応を検討する際の参考にしたい。














