トランプ関税日米合意「評価しない」が「評価する」を12.1pt超 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、トランプ関税(相互関税15%等)による影響および日米間における関税交渉の合意に対する評価について、企業へアンケート調査を実施。今回のトランプ関税に関する日米合意を「評価しない」が28.1%で「評価する(16.0%)」を10ポイント超上回ったことを発表した。
調査概要
調査期間:2025年8月1日~8月5日
調査手法:インターネット調査
有効回答企業:1,184社
出典元:トランプ関税(相互関税15%等)に関する企業アンケート(株式会社帝国データバンク)
短期的・中長期的な影響は?合意への評価は「どちらともいえない」が多数
TDBはまずはじめに、トランプ関税が自社の事業活動へ与える短期的な影響(今後1年以内)について質問。その結果「マイナス影響がある(37.7%)」「影響はない(36.9%)」と、どちらも4割程度という結果になった。「プラス影響がある」はわずか0.9%にとどまり、24.5%は「分からない」と回答した。
さらに、中長期的な影響(今後5年程度)については「マイナス影響がある(42.9%)」「分からない(37.2%)」との回答が多く「影響はない(18.2%)」「プラス影響がある(1.6%)」は低い割合を示している。短期的な影響と比べると中長期的には「影響はない」が18.7pt下回る一方で、「マイナス影響がある」は5.2pt、「分からない」は12.7pt、いずれも高くなっている。この結果は「徐々にマイナス影響が強まる可能性がある」と考えている企業が多いことを、示唆している。
2025年6月時点(相互関税10%で、上乗せ分は90日間の猶予中)に同様の設問で行った調査結果との比較も報告。今回の関税率15%での合意を受けて短期的には「影響はない」企業が増え、「マイナス影響がある」「分からない」は減少しており「先行きに対する不安感が若干緩和されている」とみている。
続いて、今回のトランプ関税に関する日米合意について自社として評価するか質問。その結果「評価しない(28.1%)」が「評価する(16.0%)」を12.1pt上回った。最も多かったのが、半数を超えた「どちらともいえない(54.3%)」だった。
まとめ
TDBは「企業から寄せられた声には、不明確な合意内容や関税率自体への不満が示されている」と分析。早期の合意を評価する声もあるものの、それ故の不明瞭さが評価に大きく影響していると推察される。
15%の関税が日本経済に及ぼす影響は、間接的なものも含め決して小さくない。合意内容の不明瞭さが残る中で、企業は先行きへの不透明感を解消できないまま対応に取り組んでいかなければならない。TDBはこうした状況を受けて「政府による日米での合意内容の明確化に加えて、今回の合意によって悪影響が懸念される中小企業を中心とした支援策など経済対策の実施が急がれる」と提言した。引き続き、今後の動向にも注目したい。











