日米関税合意を「トランプ氏が守らないと思う」約7割 紀尾井町戦略研究所
紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役社長:別所直哉)では月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたオンライン調査を行っている。今回は日米関税交渉の合意に関する内容だ。8月7日から始動した日米間税だが、7月31日の米大統領令が、日米合意の内容と一致していない状況を受けて日本国民はどう受け止めているのか。全国の18歳以上の1000人を対象とした、オンライン調査を実施した。
調査概要
調査期間:2025年8月6日
調査対象:全国の18歳以上1000人
調査方法:「Yahoo!クラウドソーシング」を活用したインターネット上でのアンケート
出典元:トランプ氏が日米関税合意守ると「思う」10%「思わない」66%(紀尾井町戦略研究所)
石破首相の発言を半数以上が「そのとおりだとは思わない」
本調査では、日米関税交渉の合意を受け、石破茂首相の7月23日のぶら下がり会見での「守るべきものは守った上で、日米両国の国益に一致する形での合意が実現した」という発言について、どう感じているかを質問。その結果「そのとおりだとは思わない(56.9%)」が半数以上を占め、「そのとおりだと思う(20.4%)」「わからない(22.7%)」という回答は2割程度にとどまった。
また、日米関税交渉の合意内容を着実に履行するため、石破首相が引き続き首相を務める必要性についてたずねた項目では「必要があるとは思わない(52.0%)」「必要があると思う(25.9%)」という結果となった。
合意内容を確認する文書「作成すべき」が約8割
続いて本調査では、トランプ米大統領が今後、日米関税交渉で合意した内容を守ると思うかどうか質問。その結果「守るとは思わない(66.4%)」が多数を占め「守ると思う(10.2%)」はわずか1割程度だった。
また、日米関税交渉の合意内容に関する日米両政府の説明に差異があると指摘されていることについては「問題だと思う(53.8%)」「問題だと思うが、仕方ないとも思う(34.7%)」と、ほとんどの人が問題意識を持っているようだ。なお、日米関税交渉で合意内容を確認する文書が作成されていないことについては「作成すべきだと思う(76.7%)」という回答が8割近くを占めた。
さらに本調査では、赤沢亮正経済再生担当相の交渉姿勢についても質問。4月以降、米国を8回訪問するなど交渉を重ねたが、合意までの交渉姿勢については「評価できない(39.8%)」と「評価できる(38.1%)」とが拮抗する結果となっている。
まとめ
トランプ関税について日米両政府が合意し、一時は先行きの不透明さが解消されたかに思えた。しかし、トランプ大統領令が日本政府の説明とは異なる内容となっており、再び今後への懸念が強まっている。
合意文書が作成されていないことについて、本調査では多くの人が「作成すべき」と回答。一方、日本政府は早期の合意を優先するために合意文書の作成には否定的な考えを示している。8月7日の会見で石破首相は「両者の認識が一致をしておるのでありまして、必要な措置を米側に対して強く求めるということで変わりはございません」と発言。今後も合意文書は作成しない方針のようだ。
大統領令の修正時期についても明らかになっていない状況で、政府の対応を疑問視する声も少なくない。今後の動向について引き続き注視したい。
参考:米国関税措置に関する日米協議の合意の実施等についての会見(内閣官房内閣広報室)














