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約8割の企業「フルタイム直接雇用の、外国人労働者はいない」 TSR調査

2025.08.20

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、全国の企業6459社を対象に「外国人労働者に関するアンケート」を実施。フルタイム直接雇用の外国人労働者が「いない」企業は78.2%と圧倒的に多い状況であることを報告した。

調査概要

調査時期:2025年8月
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:6459社
出典元:外国人労働者 企業の78.2%が雇用ゼロ 中小企業は製造業、建設業などで不可欠に
(株式会社東京商工リサーチ)

※ 外国人労働者は「日本国籍を持たないで貴社で勤務している従業員」とし、正社員+フルタイム直接雇用者に限る
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(資本金がない法人・個人企業を含む)を中小企業と定義

外国人労働者「いない」が約8割

外国人労働者「いない」が約8割

本調査結果を見ると、正社員かつフルタイム直接雇用の外国人労働者の割合について「いない」との回答が78.2%にも及んでいることがわかる。規模別では「中小企業:79.1%(5958社中、4714社)」が「大企業:68.2%(501社中、342社)」を10.9ポイント上回っており、特に中小企業で外国人労働者の雇用が進んでいない実態が明らかになった。

外国人労働者の割合については従業員全体の「1%以上5%未満」が全体の8.4%(544社)で「大企業:18.5%(93社)」は「中小企業:7.5%(451社)」の倍以上に。外国人比率が「10%超」は全体で9.1%で「50%以上」は1.1%だったこともわかった。

受け入れ企業では雇用は増加傾向 特に雇用意欲が強いのは?

受け入れ企業では雇用は増加傾向 特に雇用意欲が強いのは?

またTSRは、外国人労働者を受け入れている企業のうち、3年前と比べ53.4%の企業が雇用を増やしていることも報告。産業別では、農・林・漁・鉱業など労働集約型産業で増加が目立ち、深刻な人手不足を外国人労働者で埋めている実態があると解説。雇用理由は「人手不足を補うため(75.0%)」が最も多く、中小企業では76.8%に達している。3年後の見通しについての質問では、全体の21.8%が「増やす」と回答。雇用意欲が特に強ったのは「製造業(27.5%)」「運輸業(25.8%)」「建設業(24.2%)」だった。

政府が受け入れを制限した場合については、52.6%と半数超の企業が業績悪化を懸念している。特に中小企業では「マイナス」との回答が53.4%となっており、すでに外国人労働者が企業活動に不可欠な存在になっている実態が明らかになった。

まとめ

TSRは外国人労働者について「不足する人材を埋める即戦力」と「高度技能・国際対応力を担う戦略的戦力」として、重要性を増していると指摘。その一方でアルバイトや非正規労働といった雇用形態が多く、制度や環境を整備していく必要性が高い状況にあるとしている。

2025年7月、政府は「外国人との秩序ある共生社会推進室」を新設。石破首相は「今後、成長型経済への移行を確実なものとするためには一定の範囲での外国人労働者の受入れ、インバウンド消費の拡大などにより、海外の活力を取り込んでいくことが重要であります」と述べている。

安定した労働力確保や人口減少対策として期待される外国人材の活用。本調査では限定的な受け入れ状況である実態が明らかになっており、今後の動向にも注目したいところだ。

参考:外国人との秩序ある共生社会推進室発足式(内閣官房内閣広報室)