カスハラ対応を含むマニュアル策定や研修「未対応」が約半数 SPN調査
株式会社エス・ピー・ネットワーク(本社:東京都 代表取締役社長:熊谷信孝)は、2019年、2021年、2023年に引き続き「カスタマーハラスメント(以下:カスハラ)」についての実態調査をインターネット上で実施した。
調査概要
調査期間:2025年7月7日~8日
調査対象:全国の20代から60代の男女
調査対象職種:営業・販売、一般事務、専門職、総務・人事、カスタマーサポート、顧客管理・品質管理、技術・設計、情報処理システム、生産・製造等
対象条件:企業でクレーム対応を行った経験のある会社員1030人
調査方法:インターネット/調査協力会社:株式会社マクロミル
出典元:【カスタマーハラスメント実態調査(2025年)】約7割が消費者から、約5割が取引先からのカスハラ経験あり カスハラ対応を含む研修やマニュアル策定は半数以上が未対応(会社名)
カスハラを受けた経験とその内容
本調査では、個人顧客からカスハラを受けたことがあるとの回答は72.1%にのぼったほか、51.3%が法人顧客からカスハラを受けたとも回答している。同社は前回調査の結果と比較し、消費者から・取引先からのいずれにおいても、不当要求やカスハラを受けたことがあるとの回答が微増していることを報告した。
消費者からの不当要求やカスハラの内容については、前回調査同様「威圧的な言動(33.8%)」「執拗な言動(32.6%)」「サービスの強要(24.7%)」が20%を超えている。また、取引先などからの不当要求やカスハラの内容については「威圧的な言動(16.7%)」「サービスの強要(15.0%)」「値引きの強要(16.5%)」が上位に並んでいる。
さらに本調査では、不当要求やカスハラが与える影響について質問。「従業員のメンタル低下・モチベーション低下(50.9%)」「対応の手間に伴う本来の仕事への圧迫(28.8%)」が前回調査と同様に高い割合を示した。
法律や条例による「カスハラ対策義務化」の認知度は約7割
続いて2026年施行予定の労働施策総合推進法のほか、2025年の東京都のカスハラ防止条例施行をはじめ、各都道府県でも進んでいるカスハラ対策義務化の認知度について質問。「知っている」との回答は69.7%となったことがわかった。
そうした中で、カスハラ対応まで含んだクレーム対応などのマニュアルは約6割で未策定、クレームやカスハラの研修は約半数で未実施という実態も明らかになった。
会社の課題についてたずねた項目では、前回調査同様「トップ経営陣の意識改革(33.7%)」が最多となり、次いで「カスハラ対策基本方針の策定(26.9%)」「カスハラの定義の策定(26.9%)」が3割弱と続いた。同社は前回調査と比較した結果、基本方針の策定が6.8ポイント増加、定義の策定が7.0ポイント増加しており関心が高まっている傾向にあると報告した。
まとめ
カスハラから従業員を守るための対策を企業に求める条文が盛り込まれた「労働施策総合推進法」が2026年中に施行される予定となっている。しかし、多くの企業においてカスハラ対策の取り組みが進んでいない実態が明らかになった。
消費者や取引先からのカスハラを経験した人は半数を超えていることからも、企業としてカスハラに対して適切な措置を講じることは、必須の取り組みと言えるだろう。自社において対策が不十分となっていないか、改めて見直したい。
参考:令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について(厚生労働省)











