新入社員の5割超「副業・兼業やってみたい」 日本能率協会調査
一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村正己)は、提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに対する意識調査を実施。今後のキャリア形成のあり方や考え方についても質問した。
調査概要
調査名称:2025年度新入社員意識調査
調査時期:2025年4月1日~2025年4月11日
調査対象:JMAの新入社員向け公開教育セミナー参加者
調査方法:研修開催時に記入(入力)・回収
回答数:657名
出典元:2025年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)
※集計結果は百分率(単位:%)で表示し、小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならないものがある
「転職・独立」の代わりに「副業・兼業」意欲が向上
JMAによると『1つの仕事を長く続けて専門性を磨きたい』という項目について自身の志向と「近い」と回答する割合が年々増加している。本年度の調査では35.0%で「どちらかというと近い(32.9%)」をあわせると7割弱に及んだ。
『定年まで1つの会社に勤めたい』という意向も、2020年以降で「近い」と回答する割合が年々増加している。本年度調査では34.2%で「どちらかというと近い(34.4%)」をあわせると、こちらも7割弱となっている。
さらに『副業・兼業をやってみたい』についても「近い」が、2022年以降は約2割と大きな変化がない。しかし「どちらかというと近い」が増加傾向にあるため、本年度調査では「近い」「どちらかというと近い」を合わせると5割超に及んでいる。
なお『プライベートを優先したい』は、2020年以降「近い」と回答する割合が年々増加している。本年度調査では35.8%となり、「どちらかというと近い(47.6%)」をあわせると8割超となった。
自分のキャリアを描いているのは5割
続いてJMAはキャリアイメージについて調査。コロナ禍の2022年から2024年にかけてはキャリアイメージを「描いている」「どちらかと言えば、描いている」の合計が増加傾向にあった。しかし、2025年は2024年の61.1%から10ポイント減少し、51.7%であったと報告している。
学歴別でみると『高校卒』ではキャリアイメージを「描いている」「どちらかと言えば、描いている」の合計がやや低い傾向にある。一方『高専・専門・短大卒』では「描いている」「どちらかと言えば、描いている」の合計は『大学卒』『大学院卒』と同程度となった。「描いている」に限ると20.7%と学歴別の中で一番多かった。
さらに、キャリアイメージを「描いている」「どちらかと言えば、描いている」と回答した人を対象に、何年先までのキャリアイメージを描いているか質問。その結果「3年(19.7%)」「5年(35.6%)」「10年(33.8%)」と、10年までで全体の9割を占めたという。
まとめ
本調査では「1つの仕事を続けたい」「定年まで1つの会社に勤めたい」と考える人が増加傾向にあることが明らかになった。また、副業・兼業に関心を寄せる人も増加しているという。一方で、自分のキャリアイメージを抱く新入社員が減少傾向にあることも浮き彫りになり、長期的な目標設定を避ける傾向が強くなっていることが推察される。
先行きの不透明さが新入社員のキャリア意識にも影響している様子がみられる中、企業としてどのようなキャリア支援を行っていくべきか。制度や環境の整備の実施が、人手不足や採用難の解決策にもつながってくる可能性も高いといえるだろう。














