職場の防災訓練「形式だけ」が5割、防災意識の低下に課題 TSP太陽調査
TSP太陽株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:池澤嘉悟)は、会社員527名に防災訓練に関するアンケートを実施。防災意識や防災訓練の内容などの実態を明らかにした。
調査概要
調査期間:2025年8月12日~13日
調査対象:全国の20歳以上の一般企業に就業し、週3回以上出社している人
調査方法:インターネットリサーチ
有効回答:527名
出典元:【調査結果】避難場所の位置を認識している会社員は3年間で22.2%減(TSP太陽株式会社)
※調査機関の判断により福井県・石川県・富山県・新潟県は調査対象外
防災訓練を実施する企業は9割超も「参加意思」は減少傾向
本調査では「現在所属している職場において防災訓練はどのくらいの頻度で開催されていますか?」と質問。「年に2回以上(16.7%)」「年に1回以上(38.9%)」「それ以下もしくは不定期(34.7%)」との回答が寄せられ、合わせて90.3%の企業で防災訓練が実施されていた。
職場で実施される防災訓練への参加頻度については、2023年・2024年は「毎回参加している」「日程が合えば参加している」という回答が約9割を占めていた。しかし2025年の調査では「毎回参加している」「日程が合えば参加している」との回答が、75.8%に減少している。また、参加人数についても「訓練に全員が参加している」という回答が2023年の37.0%から2025年は18.8%と、年々減少を続けていることが明らかになった。
なお、防災訓練を行う時間については「10~15分未満(21.1%)」「15~30分未満(44.6%)」「30分~1時間未満(30.7%)」との回答が多数。1時間以上、訓練を行っているという回答は3.6%であった。
防災訓練の内容には変化なし 安全確保の意識は低下
続いて、現在所属している職場の防災訓練の内容について質問。その結果「避難動線の確認(69.5%)」「災害をシミュレーションしての館内放送(57.9%)」「初期消火訓練(41.3%)」「消火器を使用しての実習(31.9%)」との回答が寄せられた。内容については、過去の回答から大きく変化がなかったという。
さらに、「職場で災害があった場合の安否確認方法」の取り決めについて「ある」という回答は「2023年:72.0%」「2024年:67.9%」「2025年:50.7%」と減少が続いている。また避難場所の位置について「認識している」との回答も「2023年:75.0%」「2024年:64.4%」「2025年:52.8%」と減少傾向がみられた。
災害対策「適切」は4割未満 「形式だけになっている」が5割
続いて「職場における災害に対する対策が適切と感じているか」を質問。「適切と思う」「やや適切と思う」を合わせた回答率が「2023年:58.0%」「2024年:54.3%」「2025年:39.5%」と減少したことがわかった。
現在所属している職場において「防災訓練を活かせない」と感じている点としては「(防災訓練が)形式だけになっている(50.0%)」が最多に 。次いで「全員参加が義務付けられていない(22.4%)」「説明のみのため実際のリスクを想像しづらい(16.6%)」「火災・地震など一部の災害にしか対応していない(16.6%)」といった回答が続いた。
まとめ
防災訓練の実施率は非常に高い割合を示しながらも、肝心の「意識」の部分が低下傾向にある実態が明らかになった。その背景にあるのは「形式だけの防災訓練」の可能性を、本調査結果は示唆している。
本調査では防災訓練の内容に変化がなく、消火・避難を想定した訓練を継続している企業が多いことも明らかになっている。防災訓練のマンネリ化は意識の低下を引き起こし、実施効果も不十分になりがちだ。「いつどこでなにが起こるかわからないからこそ、備えが必要」だという考えのもと、従業員の防災意識向上を図る訓練の実施が必要だろう。
実際の災害発生時に連携する必要がある消防署や自治体と協力して、訓練を計画・実施するというのも1つの手段だ。防災士や災害対策士といった防災の専門家のサポートを受けることも可能だ。「防災訓練を実施すること」が目的となっていないか、改めて見直したい。














