相互関税15%製造業の約6割が「深刻な影響」 シムトップス調査
株式会社シムトップス(本社:東京都品川区、代表取締役:水野貴司)は、製造業(従業員数300名以上)の経営者・役員100名を対象に、製造業における日米相互関税措置による影響と対応状況に関する実態調査を実施した。
調査概要
調査名称:製造業における日米相互関税措置による影響と対応状況に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2025年8月7日〜同年8月8日
有効回答:製造業(従業員数300名以上)の経営者・役員100名
出典元:i-Reporter(株式会社シムトップス)
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っており、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がある
日米相互関税による自社への影響「深刻」約6割 実施・検討中の施策は?
本調査ではまずはじめに「Q1.あなたは、日米相互関税が15%に設定されたことによる自社への影響について、どの程度深刻だと認識していますか」と質問。その結果「非常に深刻である(29.0%)」「やや深刻である(30.0%)」との回答が約6割に及んだ。
続いて、Q1で「非常に深刻である」「やや深刻である」と回答した人を対象に「Q2.日米相互関税15%への対応として、現在進めている、または検討中の施策を教えてください(複数回答)」と質問。回答の上位には「調達先の見直し・多様化(50.8%)」「生産効率の改善・コスト削減強化(45.8%)」「製品価格への転嫁実施(39.0%)」などが挙がった。
製造コスト(原価)の把握・コントロール
次に「Q3.相互関税の影響を受ける中で、製造コスト(原価)を把握・コントロールすることの重要性について、どのように感じていますか」と質問。「非常に重要である(47.0%)」「やや重要である(37.0%)」が合わせて8割を超えた。
また「Q4.あなたの会社では、製造現場で発生する原価情報(原材料費、部品価格、歩留まり、不良率など)をリアルタイムに把握できていますか」という質問には、「十分に把握できている(30.0%)」「ある程度把握できている(48.0%)」との回答が約8割となった。
把握できている情報は「生産数量」がトップ 実施している分析や改善は?
把握できている原価情報としては「生産数量(製品総数・良品数・不良数など)(71.8%)」「投入した材料(使用された材料の使用量・廃棄材料の量など)(69.2%)」「作業時間(製造品目毎・ライン毎の総稼働時間・段取り替え時間など)(65.4%)」などが多いようだ。
また、把握できている原価情報をもとに実施している分析や改善については「製造工程における非効率な作業や時間の特定・改善(64.1%)」「歩留まり率の低い工程の特定・改善(57.7%)」「製品ごとの利益率を分析し、販売価格や生産計画を見直し(55.1%)」などが多く挙げられている。
なお、原価情報がリアルタイムに把握できていないことで生じている課題としては「製品ごとの正確な利益率が分からず、適切な価格設定ができていない(27.3%)」「感覚や勘に頼った経営判断になっている(27.3%)」「不良品の原因特定や再発防止策が遅れる(22.7%)」などが多いことも明らかになった。
「守りのDX」の取り組みについて
さらに「Q8.あなたは今後の経営において、利益を守ることを目的とした「守りのDX」の取り組みを、どの程度優先すべきだと考えていますか。」と質問。その結果「経営上の最優先課題の1つとして、早急に取り組むべき(37.0%)」「他の経営施策と同程度に、取り組むべき(42.0%)」との回答が目立った。
『守りのDX』推進上の課題としては「DXツールの導入やシステム構築にかかる費用が高い(41.8%)」「DXを推進する専門的な知識やスキルを持った人材がいない(41.8%)」「投資対効果が不明確(36.7%)」との声が多いようだ。
※「守りのDX」の定義:デジタル技術を活用して、社内の業務プロセスを見直す取り組み。原価情報を含めた業務データをリアルタイムに可視化・分析することで、生産性の向上、無駄なコストの削減、リスクの管理を実現し、企業の競争力を高める。
まとめ
本調査では日米相互関税の影響について、製造業の約6割が「深刻」だと捉えていることが明らかになった。そうした中で、製造コストの把握・コントロールについての重要性を認識する人は8割を超えており、リアルタイムに状況を把握できているとの回答割合も約8割であった。
一方で、DX推進においては「費用」「人材」「効果」に対する課題感があるようだ。同社は製造業における持続的な成長を実現するために「守りのDX」への投資の重要性が高いと分析しており、最優先課題と捉えている企業も少なくない。本調査結果を参考に、取り組みの現状や課題点を見直すきっかけにしたい。














