2025年8月の全国企業倒産751件、3カ月連続で前年を上回る　TDB調査

株式会社帝国データバンク（以下：TDB）は、2025年8月の企業倒産件数（負債1000万円以上の法的整理が対象）について集計し、分析。件数は2025年で最も少なかったものの、3カ月連続で前年を上回る増加ペースで推移したことを報告した。

調査概要

集計期間：2025年8月1日～2025年8月31日
発表日： 2025年9月8日
集計対象：負債1000万円以上、法的整理による倒産
出典元：倒産集計 2025年 8月報（株式会社帝国データバンク）

8月としては過去10年で最多の751件　負債総額は4カ月ぶりに前年超え

TDBの報告によると、2025年8月の倒産件数は751件（前年同月746件、0.7％増）。2025年では最も少ない件数だが、3カ月連続で前年を上回っており、増加ペースが続いていることがわかった。また、8月としては過去10年で最多だという。2025年1-8月の累計は前年同期（6553件）を2.4％（157件）上回り、6710件となっている。

TDBは負債総額についても集計結果を報告。前年同月の927億5900万円から21.8％増の1129億3600万円となり、4カ月ぶりに前年を上回ったことが明らかになった。負債額トップは、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営していた「ＭＰＨ株式会社（260億円）」で、同業種では過去最大。

業種別の集計結果をみると、7業種中3業種で前年を上回った。「サービス業：184件（前年同月197件／6.6％減）」は前年同月から減少がみられたものの、業種別では最多に。また、最も高い伸び率を示したのは「建設業：154件（同122件／26.2％増）」で、8月としては2016年と並んで、過去10年で最多タイを記録している。「運輸・通信業：34件（同28件／21.4％増）」は、8月としては過去10年で最多であった。

なお、主因別の集計では「販売不振：606件（前年同月613件／1.1％減）」が全体の80.7％を占め、最多となった。

まとめ

TDBはこのほか、注目の倒産動向として「ゼロゼロ（コロナ）融資後倒産：43件」が4カ月連続で前年を下回ったことや「人手不足倒産：34件」が過去最多ペースで推移していることを報告した。また「物価高倒産：76件（前年同月64件、18.8％増）」は2カ月ぶりに前年を上回ったという。

人手不足や物価高が、企業経営に大きな影響をもたらしていることは言うまでもないだろう。小規模事業者を中心に、経営体力の限界を迎えた企業の倒産が進んでいる。

さらにTDBは8月18日に発表した『全国企業「倒産リスク」分析調査（2025年上半期）』によって、高リスクの“倒産予備軍”が全国に12.8万社存在することを明らかにしている。年末に向けて企業倒産が増えやすい時期に入ることもあり、動向を注視したい。

参考：全国企業「倒産リスク」分析調査（2025年上半期）（株式会社帝国データバンク）