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外国人労働者の雇用4社に1社、14.3%が採用拡大予定 TDB調査

2025.09.29

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6162社を対象に外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査を実施した。前回2024年2月に実施し、今回で2回目となる。

調査概要

調査期間:2025年8月18日~8月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国2万6162社
有効回答企業数:1万701社(回答率40.9%)
出典元:外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)(株式会社帝国データバンク)

24.7%が外国人を雇用 個人向けサービス業で拡大傾向

24.7%が外国人を雇用 個人向けサービス業で拡大傾向

本調査ではまずはじめに、外国人の雇用・採用の状況について質問。その結果、現在「雇用している(24.7%)」との回答が、前回調査(2024年2月)から1.0pt増加したことが明らかになった。一方で、現在「雇用していない(58.1%)」との回答は前回比1.1pt減に。「雇用していない」の低下分が現在「雇用している」の上昇分にシフトする結果となった。

また、今後の採用に関して「現在外国人を雇用しており、かつ採用を増やす意向」の企業は3.1%にとどまり、前回調査から1.4pt低下。「現在雇用していないが、今後新たに採用する」とした企業は前回比1.0pt減の11.2%となっている。合わせて14.3%(同2.4pt減)が外国人労働者を採用開始・拡大する意向だ。

業種別の拡大意向については「人材派遣・紹介(36.6%/同2.8pt増)」が最も高い割合を示したことが判明。次いで「各種商品小売(29.5%/同7.8pt増)」「飲食店(28.2%/同15.8pt減)」が続いている。上位10業種については、サービス業や小売業を中心とした個人向けサービス業が多くを占めた。さらに前回調査と比較した結果、51業種中16業種で外国人労働者の採用拡大の割合が上昇し、35業種が低下したことがわかっている。

外国人雇用の障壁は「教育」と「コミュニケーション」

外国人雇用の障壁は「教育」と「コミュニケーション」

外国人雇用の課題としては「スキルや語学などの教育(55.8%/前回比0.7pt増)」と「コミュニケーション(55.7%/同0.7pt増)」が50%を上回り、前回調査に引き続き突出する結果に。TDBは「企業から、具体的な解決策を講じられず労使ともに苦労しているといった声が多く聞かれた」と報告している。

また「宗教による生活様式などの違いへの配慮(24.3%)」については、およそ4社に1社が課題を抱えている結果となった。実際に企業からは「過去に雇用したこともあるが、文化の違いから既存社員と融和できなかった。連絡なしでの欠勤やすぐに辞めてしまうなどの問題もあった(建設、愛知県)」といった声も多かったという。

まとめ

外国人雇用について、拡大意向を持つ企業は全体では前回調査時より2.4pt減少。その一方で、人手不足の課題が特に深刻化している個人向けサービス業などでは拡大意向の高まりがみられた。

実際に雇用する上ではスキルや語学に関する教育、コミュニケーションなどが大きな障壁となっているようだ。TDBはこうした調査結果を受けて「個々の企業で具体的な解決策を講じるには限界もあるなかで、外国人労働者の受け入れを推進する政府が主導し、円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要であろう」とコメントした。

言語や文化の違いがある中で、外国人材の受入れに不安がある企業も少なくないだろう。独立行政法人国際協力機構「JICA」では、外国人材受入れ・多文化共生支援事業に取り組んでおり、外国人労働者受入れのプラットフォームなどを設立している。また、厚生労働省は外国人材の職場・地域への定着に向けた適切な対応や好事例をまとめたマニュアルを作成し、公開している。こうした資料なども参考にしたい。

参考;外国人材受入れ・多文化共生支援(独立行政法人国際協力機構「JICA」)
参考:外国人雇用対策 Employment Policy for Foreign Workers(厚生労働省)