2025年10月飲食料品の値上げ3024品目、 11月は小休止か？　TDB調査

株式会社帝国データバンク（以下：TDB）は、2025年10月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析。2025年10月の飲食料品値上げが合計3024品目となったことを報告した。通年では、12月までの公表分で累計2万381品目となっている。

10月の値上げラッシュ、6カ月ぶり3000品目超

TDBによると主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは、前年10月（2924品目）に100品目プラスの3024品目に。1回あたりの値上げ率の平均は17％で、前年同月にプラス3.4％となっている。飲食料品の値上げは10カ月連続で前年を上回っており、連続増加期間としては前月に続き、2022年の統計開始以降で最長を更新。また、単月の値上げ品目数としては5カ月連続で1000品目を超えたほか、4月（4225品目）以来、6カ月ぶりに3000品目を上回った。

食品分野別では「酒類・飲料（2262品目）」が最も多く、次いで「加工食品（340品目）」「調味料（246品目）」が続いている。

また、2025年通年の値上げは12月までの公表分で累計2万381品目と、前年の実績（1万2520品目）を62.8％上回った。2023年（3万2396品目）以来、2年ぶりの2万品目超えとなっている。1回当たり値上げ率平均は15％と、前年（17％）をやや下回る水準が続いた。

TDBは値上げ要因について「原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった」と報告。「原材料高」が全体の96.1％を占めたほか「エネルギー（光熱費）（64.3％）」「包装・資材（62.9％）」「物流費（78.8％）」「人件費（50.2％）」など主要な値上げ要因では、いずれも半数を超えたという。なお、2025年11月の飲食料品値上げについては、予定品目が9月末時点で100品目未満にとどまったことが報告されている。

出典元：「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年10月（株式会社帝国データバンク）
※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント。
※値上げ率は発表時点における最大値を採用。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。

まとめ

内的要因による値上げラッシュがみられた2025年。TDBの報告によれば、消費者の物価高への反発も根強い中、食品メーカー各社では、本体価格の継続的な引き上げによって利益を確保する収益構造を目指す動きがあるという。そうした影響もあり、飲食料品における値上げは長期化・恒常化が見込まれている。

TDBは通年の値上げ品目について、値上げラッシュが本格化した2022年の2万5768品目には届かないものの、2万1000品目前後と高い水準になることを予想している。とは言え、11月には前年同月を11カ月ぶりに下回るとの予測もあり、年内続いた値上げラッシュは年末にかけて小休止を迎えるようだ。この小休止や年末特需が消費者の動向にどう影響するか、今後も注目したい。