2025年度上半期「円安倒産」30件、39カ月連続で発生 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2025年度上半期(4-9月)の 「円安」関連倒産について集計・分析した結果を報告した。
2024年に次いで2番目の高水準
TSRによると、2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)。上半期としては2022年度以降の円安では、前年度の44件に次ぐ2番目の高水準になった。負債総額は240億1500万円(同1.1%減)で、2年連続で前年同期を下回った。
また、円安が起因で倒産した30件のうち、産業別では14件(構成比46.6%)が卸売業だった。TSRは「円安で輸入財の仕入れコストが上昇し、価格引き上げによる売上低下、あるいは価格転嫁の遅れなどが資金繰りを直撃している」と分析している。
9月としては「円安」倒産は5件(前年同月7件)で、2022年7月から39カ月連続で発生している。9月に入ってもドル/円相場は、1ドル=147円~148円と円安で推移。TSRは今後も円安倒産が高止まりで推移すると予測している。
出典元:2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
円安に伴う仕入れ価格の上昇や物価高が、企業収益を圧迫している。特に価格転嫁が難しい中小企業においては、資金繰りに大きな影響が及んでいるようだ。TSRは年末の資金需要期を迎えるにあたって、資金調達力に乏しい企業の倒産を円安が押し上げかねないとみている。
中小機構が2025年3月に公開した「円安等の影響に関する調査報告」では、円安により受けた影響で実施した価格転嫁率が1割以下という企業が約半数を占めたことが報告されていた。
2024年度は84件の円安倒産が発生し、2023年の1.4倍となった。2025年上半期は前年比31.8%減となっているものの、2022年度以降2番目の高水準だ。ドル/円相場が円安で推移する中、倒産件数の増加が懸念される。引き続き注視していきたい。
参考:円安等の影響に関する調査報告(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)
参考:2024年度「円安」倒産84件、前年の1.4倍増 最多は卸売業、金融・保険業を除く9産業で発生(株式会社東京商工リサーチ)














